新年座談会 総合評価導入等の諸施策へ 適切に対応、力を結集せよ(1)

中小建設業が生き残るため今後の全中建活動のあり方

出席者
▽会長:総務委員長 岡本 弘
▽副会長:財務委員長 松井守夫
▽副会長:土木委員長 宮本武蔵
▽副会長:労務資材対策委員長 青木誠光
▽副会長:共済制度運営委員長 前田滿二
▽副会長:(紙上参加)建築委員長 渡邉忠司
▽常任理事:環境問題等対策委員長 金子利男
▽常任理事:安全衛生委員長 上山一吉
▽常任理事:建設業振興対策委員長 小野 徹
(司会)
▽理事:広報委員長 廣山宗一

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廣山 ここ何年にもわたって厳しい状況が続いています。公共事業の拡大は望めず、特に地方自治体の厳しい財政事情による建設投資の減少が、地場産業である中小建設業の窮状をさらに深めています。また、不良・不適格業者の参入、ダンピング受注など入札・契約制度をめぐる環境もなかなか改善されていません。

総合評価方式の導入、新建設産業政策の策定、透明な競争環境の整備といった方向が打ち出されていますが、中小建設業の窮状は改善されていません。全中建としては、これらの諸制度に適切に対応しながら、中小建設業者の力を結集して、生き残る努力を続けなければならないと思います。
本日は、各委員長による新年号の座談会をお願いしましたが、こうした状況の中で全中建として何ができるか、今後の活動をどう進めるかなどについて、お考えを伺いたいと思います。まず、岡本会長から、新年度に向けての総務委員長としてのお話をお願いできればと思います。

過当競争でない適切な競争を

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岡本 去年は参議院選挙等々、大変なことがあり、自民党も状況が一変しています。我々も、かすかな光は見えたかなと思うようなことではありますが、依然として厳しいことに変わりはありません。昨年の11月15日に副会長の皆さんと一緒に陳情に参りまして、幹事長には、実のある話をしてくださいということでお願いをしました。また、総務会長は、「私も県会議員を地方で2期したので皆さんの気持ちは良く分かっている」とおっしゃっていました。

 競争の時代ですが、競争という原理が過当競争を生み出していて、地方では、勝つことだけが競争だというような方向へ走ってしまって、このままでは生きていかれません。比較的人情豊かな地域はこれまでよかったんですが、昨年あたりは、そういったところでも、厳しさが及んでいて、田舎ほど一層厳しくなったという言葉も出ています。私共の広島の地域でも似たような現象が起きてしまっている。頑張っている、まじめな人が生き残れないのではないかという厳しい競争にさらされていますが、そういうことがないようにということを、陳情では申し上げたわけです。

廣山 地方では会員が減ってきています。全中建の会費も少なくなりますが、財務委員長としての御意見をと思います。

道路特定財源はすべて道路建設に

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松井 私共の財務委員会は、御案内のように、全中建の財政一般と税制問題、商法問題を担当していますが、今、廣山委員長からも御指摘がありました会員数の減少という問題は、財政を逼迫させている大きな原因になっているのではないかと思っています。

 これは地方の協会も全くそうではないかなと思います。私共は愛知県ですが、愛知県の会員も、一時は453社くらい加盟していたのですが、現在、370社ぐらいになっています。毎月、必ず1社か2社、退会者が上ってくる状況です。

 建設業の倒産が前年比で増えていますし、倒産の約1割は建設業者と言われていますが、ここへ来てまた増加していますので、1年ぐらいは、かなり厳しい状況が続くのではないかと危惧をしています。会員が減るということは財政収入が落ちるということで、これを何とか食いとめていかなければということが大きな問題になっています。

 もう一つ、税制の関係では、道路特定財源の問題が我々業界にとってはかなり大きなウエイトを占めていますし、国の予算が毎年3%削減ということも大きな問題です。これは、道路特定財源より大きい問題でして、これ以上減らさないように施策の中でやっていただきたいと思います。
また、道路特定財源については、国交省から10年計画が出されました。それによると、道路のインフラ整備に毎年6兆円程度かかり、10年間で60兆円ぐらいの費用が必要です。一般財源化なんかは、もってのほかです。道路特定財源はすべて道路に使って頂きたい。

 知事会でも、47都道府県の知事がすべて、道路特定財源は確保してほしいと言っています。各地方の市町村長さんもすべて思いは同じだと思うんです。地方の公共投資と業界に及ぼす影響は、大変なことになりますので、野党にも、よく理解していただいて、暫定税率を延長してもらうように協力して頂くことが大切だと思っています。

 委員会活動については、会費以外には共済制度の前田委員長のところでいろいろ御支援をいただいていまして、これも大きな財源になっています。
こちらの方も、ぜひ会員の皆さんの御理解をいただいて、加入が落ちないようにやっていただきたいと思っています。

労務資材対策は各地区での取組を

廣山 全中建の運営は、会員がいなければどうにもなりません。そのためには、魅力ある全中建にしていかなければならないと考えています。

 では、続いて、青木労働資材対策委員長、よろしくお願いしたいと思います。

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青木 私共の委員会は、11月16日に会合を開きまして、国交省の横田労働資材対策官をお招きし、意見交換を行いました。我々が公共事業をやっていく上で、設計のいわば基本になるかなりの部分をやっているということもありまして、それなりの取り組みをしてきています。ただ、北海道から九州、沖縄までですので、それぞれの地区での労務単価とか資材単価がかなり違います。先日の委員会でも、そのことについて、各地区で積極的に取り組んで頂きたいという話もさせて頂きました。

 委員会としての取り組みは、そんなことで、非常に難しい面もありますが、しかし、やることをやらないと、仕事をしても黒字につながらない、赤字になっていきますので、これからも地道に取り組んでいかなければと思っています。

廣山 労務とか資材対策ですが、油が上がった影響で、鉄もセメントも、値上げという問題になってくると思います。その辺も大変ですね。

 では、共済制度問題について前田委員長に承りたいと思います。

ダンピングによる労災事故が懸念

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前田 先ほどから各委員長さんのお話を拝聴していましても、全中建の会員が減少しているのは事実ですし、これによる影響が大変になってくるのではないかと思っています。共済制度自身も会員が減少すれば加入数が少なくなってくるわけで、これは現実に出てきています。

 そして、もう一つ心配されるのが優良割り戻しという制度の問題です。この制度では、事故が少なければ割戻率がだんだんと大きくなってきて、全中建への戻しが増えてきます。逆に事故が増えてきますと、優良払い戻しがなくなってきますので、財務の方にも影響をしてくるのではないかという懸念があります。

 ですから、一番の心配事は労災事故だろうと思います。ダンピングが横行すれば、まず省かれるのは仮設工事であり、いわゆる安全設備等の費用です。それによる労災事故が一番懸念される問題だと思います。

 もう一つ、技術の卓越した職人さんが少なくなってくる。とりあえずの人数合わせで未熟な若者を人数分だけは就業させて作業しているという現実も出てきているようです。熟練工が、良い工事を仕上げる上では必要不可欠ですが、ダンピングによる利益率の低下によって飯が食えないということで、廃業されていく。また、他業種に依存するという形で、職人さん、技能者がだんだん少なくなってくると思います。

 大阪でも、工事を取っても職人が集まらないので工事が遅延するということが現実に出ているようですが、経験が少ない職人からは事故が発生しやすくなります。できるだけ良い単価で受注して良い仕事をしていくことが理想ではないかと思っています。

施工体制確認でダンピング防止

廣山 それでは宮本委員長、土木委員会についてお話をいただければと思います。

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宮本 地方の中小業者は大体、行き着くところまで行っているという感じです。地方の協会で考えますと、既に1番多いときから比べると40%ぐらい会員が減っているというのが実情です。

 何とかしなければいけないということを、国の将来を考える人は皆考えていると思うんですが、いまだに政府の各種諮問委員会の委員さんの中には、90%、95%で落札するような業者は国賊や、みたいな感覚の方がおられて、発言が行われているという話です。

 ここへ来る前に、技監、技術審議官という、本省の技術の最高幹部5、6人と意見交換会をしてきたんですが、その方たちが心配をしていたのは、このままでいったら職人さんの再生産ができないだろうということです。

 実は1級土木施工管理技士の受験者がここ3、4年、急激に減っているそうです。それで、このままでは国の将来、特に国土保全という意味から大変だということで、総合評価方式の中に施工体制確認ということを入れて、ダンピングを防止しようということです。

 今、80%前後に決めているんだそうです。それ以下ですと、建材業者や下請に対して確実で安全な施工体制がとれないと考えているようです。現在のところ、89%ぐらいが国交省の落札率だそうです。いずれにしても、建材業者や職人にも普通に払え、新しい人が入るような体制にしていきたい。そういうことをしないと、10年たつと、外国から技能者を呼ばないと建設工事はできないことになるという話でした。

 昨年11月27日の下水道意見交換会では、兵庫県の担当者が、総合評価方式で2件出したら、参加者が1件は3人、もう1件は1人だったと言っていました。これは、安い仕事は要らないので参加しないということなのか、あるいは、人がいなくなったから、技術者をつけられないので参加しないのか、わかりませんが、それで困っていると言っていました。

 1級さえ持っていたらだれでもよいという工事には参加者があるのだが、技術力を評価される工事については参加者がないというのは、これは、人がいないということだろうと思うんです。

 こういう工事が、1年たったら、どんどん出てくるでしょう。だから、安くとったら、国の将来がないということで、地域の議員の方を、業界が本気になって説得しないと、各県、市の方は総合評価方式、特に施工体制の評価をしづらい。

建築確認の遅れで関連倒産恐れる
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渡邉 耐震偽装という構造計算の疑惑が次々と発見され、国民の信頼を失った建築業界ですが、国民の皆様に如何にして新しい日本の建設関連のイメージをクリアするかと、数々の試みが出てきたと言えます。

 その中で建築に関わる最大の変革は建築基準法の改正です。ところが、建築確認審査業務が大幅に停滞し、設計事務所、建築主事、ゼネコン等が右往左往し大きな社会問題となっています。国交省も対策を講じておられますが、一番の原因は手続きの複雑さのために今までは数十日で済んだことが、繰り返しの再申請を強いられることで、3カ月から6カ月も建築確認審査業務がかかっていることです。
その影響は非常に大きく、6月以降の住宅着工件数が落ち込んでおります。住宅を建てようとする人が減ったのではなく、この建築確認審査業務の遅延が最大の原因なのです。私はこのためにやっと景気が上向くかに見えた19年前半の状態が後戻りし、20年の3月から4月には建築関連の倒産が出はしないかと心配しています。

 しかもオイルショック並みの原油の高騰から建設資材の値上がりが進んでいます。国、地方自治体もこの実態を早くご認識し、予算関係の改善を進めていただくように是非お願いをしたいと思います。ここ数年続いた建築工事の価格破壊は大手をはじめ中堅、中小にも少し落ち着きを見せており、都市部では見積辞退や入札不調が多発しています。これは低価格では、もうついて行けないと思う業者が増えたためです。しかしやがてそのしわ寄せが体質の弱った中小、零細に来ることは明らかです。
良質の建造物を造ることが建設業者の当然の義務ですが、悪貨が良貨を駆逐し再び耐震偽装のようなことが発生すれば、それこそ何のための品確法や建築基準法の改正なのかと、再び国民の建設業への疑惑が深まることになるでしょう。

 ところで、都市部では建築技術者が大幅に不足していますが、地域によっては季節的な問題や建築工事の大幅な減少で、技術者が遊んでいるとのことです。今後はこの問題について協会等を活用して、より良い人材を確保するシステム等について勉強をし、魅力ある建築技術者の有効利用が図れないかを建築委員会で検討したいと考えています。

リサイクル中心に環境対策を推進へ

廣山 それでは、続けて環境問題対策への取組について、金子委員長にお願いしたいと思います。

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金子 環境問題等対策委員会では、余り大した事業が昨年1年間できなかったんですが、環境問題と言えば、空気、水、土というような環境をいかに保全していくかが大きな問題であります。建設産業界においては建設業リサイクル法に基づいて3R、つまりリデュース、リサイクルそれからリユースというような循環型の環境対策が挙げられるんだと思います。

 今、盛んに検討が進められているのが電子マニフェストの導入です。それが、どうも問題がある。今までのペーパーによるマニフェストというのは、その紙を買うことによって幾らかでもお金をストックして、それを原状回復に使うということができたんですが、電子マニフェストになりますと、お金をどうやって集めるかというところのソフトがなかなかできない。全中建の立場で、電子マニフェストが果たして中小建設業者に向いているかどうかというようなところまで含めて、議論をさせていただいています。

 それから、現実の問題として、産業廃棄物がどうしても出る。全国の不法投棄のゴミを調べてみると、その中の50%くらいが建設関連だそうです。不法投棄をどうやってなくしていくかが今年の大きな課題です。

 今年1年、リサイクルを中心とした環境問題対策を煮詰めていきたいと思っています。ですから、近々、国土交通省の方においでいただいて、勉強会も開きたいと考えているところです。

リスクアセスメント教育を重点項目に

廣山 では安全衛生対策について、上山委員長にお願いをします。

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上山 安全衛生委員会の方は、2月に委員会を予定していまして、そのときに平成20年度の災害防止対策計画を策定したいと思っています。建設業の労働災害は長期的には減少傾向で推移しているわけですが、その中でも特に死亡災害はこの10年間で約2分の1に減少しています。しかし、全産業における死亡災害は建設業が3割以上を占めていて、一層の安全対策の推進が望まれているわけです。

 そうした状況の中で、昨年の9月に横浜で第44回の安全全国大会が行われ、一昨年、改正労働安全衛生法で新たに規定されたリスクアセスメントの確実な実施と建設業労働安全衛生のマネジメントシステムの定着の推進というような3項目を重点に安全の誓いが宣言されました。

 また、安全衛生の教育としては、職長のためのリスクアセスメント教育を引き続き実施していくことになりました。そして、建設現場の統括安全衛生責任者を対象としたリスクアセスメントの研修を実施するということが新たに表明されたわけです。安全衛生委員会も、重点項目として、このことについて検討していきたいと思っています。

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