新年座談会 総合評価導入等の諸施策へ適切に対応、力を結集せよ(2)

中小業者のCSRは防災等の地域貢献で

 廣山 安全衛生の問題ですが、安全管理費の別立てという運動をしていますよね。これが役所には通じない。大変難しい問題かもしれませんが、取り組みをお願いしたいと思います。
 それでは、建設業振興対策委員会の小野委員長、よろしくお願いをいたします。

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  小野 私どもの委員会にCSRについて勉強しなさいという宿題が出されました。コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリディー、いわゆる企業の社会的責任ということについてですが、何しろ勉強不足でして、先日、建設経済研究所の松浦常務からお話を伺いました。それでどう対処していこうかなということを考えています。

 このCSR自身は、一般的には製造業の会社が、特に欧州では、こういう社会的責任を果たしていますよというランクづけをされているということで、非常に重視をしているという話を聞きました。普通、我々の企業というのは収益を上げるというのが一般的なわけですが、この収益性だけではなくて法令の順守をしなければならない、環境への配慮をしなければならない、社会的貢献をしなければならない、つまりトータルとしての企業価値の向上を目指そうではないかというのがCSRだと聞いています。簡単に言えば、社会からどう見られているかの評価と考えた方がいいのではないかと思います。

 ではどういうものがCSRなのだということについては、別段取り決めや順番はなく、あくまでも企業がどうCSRをとらえるかが判断基準になるということです。そこで、アンケートをした結果を、多い順に並べると、1番は、品質の高い施工、2番目が利益を上げて納税をする、3番目が地域社会への貢献、4番目が雇用の創出と確保、5番が省エネとか環境保護、6番目が入札における公正取引、いわゆるコンプライアンス、7番目が施工現場の環境への悪影響の低減、になるようです。

 それで、松浦常務にCSRに対してどういう取り組みをするべきでしょうか、しかもそれが総合評価とかにどう反映されるでしょうかという質問をしたところ、まだ全体の方向は決まっていないが、大手と中小の区分けがされるのではないかというのが松浦常務の意見です。大手は大手として法令順守とかそういったものが重点に評価され、中小については社会貢献、地域貢献というものが重視された評価になってくるということです。

 業界団体が、では、どうしたらいいかというと、できるだけ先ほどの話のような事例を集めて、皆さんに公開するといったことが必要ではないか、しかし、地域密着というのが中小にとっての一番のポイントですから、この観点でいくと、第一は防災です。防災を地域密着として考えた方がいいのではということです。

 いずれにしろ、社会的責任という当たり前の概念の中で中小としてどう取り組んでいったらいいのか、この辺について委員会として1年間取り組んでいきたいと考えています。

地域の情報発信へ投稿で協力を

廣山 どちらにしても社会的貢献というのが大きくクローズアップされてきているようです。それぞれ、我々ができる社会的貢献というものを見いだしてやっていかなくてはならないと思います。

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 私共の広報委員会は、年に8回「全中建だより」を発行しています。当然、地域の状況はもちろんですが、国の業法改正とか、各県の入札・契約制度改正とかもありますから、それらの情報もうまくとって流したい。どちらにしても全中建だよりは全中建の情報発信ですので、皆さんにできるだけ早くニュースを届けたい、こんな気持ちでいます。ただ、各県から情報を提供して頂かないと、この東京近辺の話だけになってしまいます。地方版というものをつくってもいいかなとも考えるんですが、取材というのも難しいんですね。ですから、投稿という形で協力して頂ければありがたいと思います。

会員意義を見いだし地方協会組織維持を

398p16.jpg 岡本 地域に貢献する、地域に愛される業者は、談合しなくても、すみ分けができるのだといったことを皆さんが自覚して生きていける時代が来なければ、中小建設業は生き残れません。今日まで第一線でやってきた我々の仲間が消えていって、その代わりに何十万という予備軍をどんどん登用されたのでは、頑張っていっても意味がありません。

 不良不適格はどうかというと、私どもの広島県では、暴力団とかかわりがある人以外は、不良不適格の烙印を押されて免許の取り上げとか登録取り消しといったことにはなっていません。今こそ我々の業界は、まじめで、技術力のある、伝統のある業者が生き残れるような施策を望まなければいけません。

 各地域の協会のあり方として、会員になっていることに意義を見つけて、会の組織をしっかりとしなければいけません。会の存亡が急を要するようなところまで来ているのが現状です。

 私の地域ではそういったことが現実にあって、岩国談合問題等々で広島県の業界も過半数が解散しました。しかし、県内業者で一本化しようではないかという話が持ち上がっています。私の地域の話になりますが、多少でも皆さんの参考になればと思ってお話ししますと、新年度は合併して、県下で一つの組織にして、大手さんには正会員でない形で入っていただくという会を構築して続けていこうではないかといった方向になっています。会は要らないという半面、解散した業界との合併の話が持ち上がってきて、新しい方向を試行錯誤しながらやっている状態です。

地域の安全、安心は地元中小建設業者で

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松井 中小建設業の施策については、先ほど申し上げましたように、これ以上インフラ整備の手を抜かないでほしい。シーリング3%マイナスは絶対、本年で切り上げて、むしろできる限り少しでも増やしていただきたい。国の予算もそうですが、今、地方ではお金がなくて、いろんな整備ができません。したがって、交付税はきちっと回していただいて、地域の整備をしていただきたい。

 やはり、地域の発展の原動力になるのは道路網の整備だと思うんです。愛知県も、トヨタ自動車が大きな原動力となり、空港をつくり、それを起点として三重県、岐阜県、愛知県を結ぶ環状線道路を整備しました。そうしたら、三重県からトヨタ近辺へ来る時間がものすごく短縮された。岐阜県で工場を建ててもすぐトヨタに部品が運べる。道路網の整備がどれだけ地域の企業の振興に役立つかが、愛知県では如実にわかったわけです。

 私共の県でも今、入札制度の改革をやっています。最近やっと、地域の安全、安心を保つためには、地元の建設業者に地域で頑張って頂くしかないということで、県もその気になって頂き、一般競争入札も、とりあえずは5千万で線を引いてもらいました。

 一般競争入札になりますと、災害が云々と言われても、採算に合わなければ出動しないという状況が出ます。そういったことを県に強く言いまして、地域要件というものをしっかり入れて頂く。それから、協定したものについては別途配慮してもらい、受注機会を与えて頂くということで、地域要件等で絞ってもらっているという状況です。

会員の大幅減少で地元組織が弱体化

青木 業界の現状について少し話をさせていただきたいと思います。私共の高知県建設業協会の上に四国4県の連合会がありまして、他の3県の役員さんとも連絡をとり、会議をやったりしておつき合いしておりますが、4県の中でも私共の県が財政的にも非常に厳しいということもあり、恐らく4県の中で1番、公共事業をやっていく上でしんどい目をしているなと思っております。
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 実際、財政が47都道府県のうちで、47番目ということも言われていまして、仮に、県単位の公共事業を高知県で受け入れるにしても、裏負担の問題でなかなか思うように受け入れができないということも一つあります。それから、直接仕事をやります高速道路とか、道路公団でやる仕事についても、これは地元の負担が要るということですので、これの受け入れも思うに任せない状況が続いています。四国4県の中でも高速道路の延長が一番短いということからも言えると思います。

 また、御承知のように、私共の県は、東西に長い県ですので、県の出先が今のところ12あります。その12地区で会を組織していまして、高知県建設業協会の行事として県協会の本部とそれぞれの地区の協会員との交流を図るということで、その会を9月の末から10月ごろにかけてやっています。12地区をこの間、回ってきましたが、非常に厳しい意見も出ます。

 私共のところも、最盛期には600社近く会員がいましたが、ここへ来まして380社になりました。恐らく今年度が終わる時期、5月の総会の時期には、さらに減ってくると思っています。

 これは、一つには、倒産をしたため、やむなしというものもあります。それから、今も話に出ていましたように、会に所属をしていることにどれほどのメリットがあるかという考え方もある。そしていま一つは、入札のやり方がこの7、8年で相当変わってきたこともありまして、組織に入っていなくても入札に参加することにそれほど不自由は感じないというようなことにもなってきました。
そのため、経費のかかる会には所属しないという感じでして、組織としてかなり弱体化していると言えると思います。

安値受注容認では工事業者いなくなる

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宮本 三重県であったのですが、3社が手を挙げておいて1社しか入札しなかったら、談合したと言われた。話を聞くと、安いので行かなかっただけです。予定価格が発表されているので、それより高くは書けず、同額で入れても10%ほど赤字になるという話で、1人だけ99.8%で入れたそうです。そしたら、残りの2社と談合して1社だけになったと、役所が言っているんですよ。

 幾ら安くても儲かるという考えが世の中に蔓延していて、総合評価方式で役所が80%以上に誘導するようなことは議会の同意が得にくいということで、総合評価方式、なかんずく施工体制の評価はしにくいという話です。しかし、そんな安値で取ったら、何年か先の建設工事は、日本人の手ではできなくなりますよということを、本気で宣伝することが必要でしょう。そうしないと、仕事はあるけど、する人がなくなるだろうと思います。

全中建の魅力考え国に対して陳情を

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前田 先ほどもお話の出ていました全中建に加入していての魅力ということが、これからの大きな問題になってくるのではないかと思っています。私は大阪でして、大阪中小建設業協会は、個人、個人の集まりではなく、団体加入をやっていますが、だんだんと支部自身の運営ができなくなって、解散しています。当然、会そのものが退会していくので、最低20社から30社の会員が一度に減ります。実際、550社あったのが、今年の3月末で470から480社ぐらいになってしまうのではないかと聞いておりますし、最終的には全中建に波及することになってくると思います。全中建の魅力についてもう少し我々で考えて、国に対しても入札改善の問題等、陳情していく必要があると思います。

日赤センターと提携献血活動を展開

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金子 私共の地域について話しますと、宮城の方でも、入札契約制度を11月に変えて頂きました。変えて頂いたといっても、皆さんのお話を聞いていると宮城はまだまだ遅れていまして、平均落札率が、平成17年度は73.7%。昨年の10月末で79%です。これは知事がかわったので、若干調査基準価格を引き上げてもらいました。そうした事で79%まで上がったということです。

 で、昨年の11月からまた入札契約制度が変わったんです。失格判断基準の引き上げと、総合評価落札方式の改正、つまり、標準型の細区分が変更になりました。また、いわゆる現場代理人の現場管理費の見直しとか、あるいは下請等の外注費と落札率の関連性とか、あるいはダンプトラックの契約等がどうも一方的な、指し値的な決定があるのではないか、これは調査しますということで、契約制度が変わりました。

 それから、今の中小建設業界の問題の中で宮城あるいは東北というようなことで考えますと、建設産業の構造改革といいますか、他産業へ進出されている方もいらっしゃるんですが、なかなか商売にはなりにくい。そういうことから、都市部での構造改革と地方部での構造改革を一緒に考えていったら絶対駄目だろうと思っています。なぜかといいますと、地方のコミュニティーといいますか町とか村とかというものの構成が建設産業によって安心、安全を確保されているという現実があるからです。

 そういう意味から、建設産業というものを本当に考えていただいて、地方の中小建設業者を絶対救うんだという施策をきちっと立ててもらわないといけない。緊急避難的に補正を組むとか、あるいは建設国債を発行するとか、ここでそうした結論を出さないと、本当に地方の建設業者はいなくなるというのが実感です。

 あと、CSRでは、企業の社会的責任で、日本赤十字センターと提携をしまして、献血活動をしています。それから宮城にはここ20年で99%以上の高い確率で地震が起きるだろうということで、被災した場合、血液不足のおそれがある。兵庫の神戸の震災のときも足らなかったわけですが、そのため、こうしたことを協定して、社会的貢献をしていきましょうということです。

PFI導入反対で知事、県議会に要望

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上山 鹿児島県では、安全管理費は共通仮設費の中に含まれているわけですが、現場に合った安全管理費の設定を今、強く要望しています。

 私共の協会は建築を主体にしています。昨年の6月20日に改正建築基準法が施行されたわけですが、建築確認審査が厳格化し過ぎまして、非常に確認が遅れているという状況で、このため民間工事量もものすごく減少して、地方の建築業者は大変厳しい経営状況に陥っています。木造はそうでもないのですが、RC造、それからS造が大変減少しています。

 鹿児島県では去年の6月に初めてPFI導入の可能性調査というのを東京のコンサルタントに委託して、現在調査中です。これは、鹿児島盲学校の整備工事ということでして、規模としては30億ぐらいですが、学校ですので、特殊な工事でもありません。私共としてはPFI導入には絶対反対ということで、建築関連の団体、電設協会、空調関係の空衛協会など4団体と合同で、PFI導入反対を訴えて、知事あるいは県議会の方にも、要望書を提出しました。PFI導入になりますと、地元の業者はなかなか受注できない状況です。地域経済の活性化のためにも地元の業者が受注できる方策を考えて頂きたいということです。

 そういう状況の中で、社会貢献の一環として木造住宅耐震改修促進のための診断に私共の協会から、助成金を民間の消費者に出すことを決定しました。大体4万5千円ぐらいかかるということでして、1万5千円は消費者に負担していただきまして、あとを協会が負担します。今年度は30件、来年度はさらに拡大していけたら、会員の受注に少しでもお役に立つのではということで、それを進めているところです。

国より県の方が経験の評価厳しい

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小野 私共の地区の静岡の話しなのですが、三島で今、50mの軟弱地盤のくい打ちの工事が県から発注される予定です。しかし、地元では30mの経験しかどこの会社も持っていません。それで、国交省の方を調べますと、30mの経験があれば、大体60mまでは何とかエントリーが可能なわけです。が、県の場合は50mにこだわっているようでして、30mの経験者では駄目ということです。

 中小と中堅大手さん、その辺との綱引きというものがあろうかと思いますが、国が倍まで見てくれるというのに、県はなぜ見てくれないのか。そういう話をずっとしているわけですが、いわゆる力不足といいますか、我々の方で幾らお願いしてもなかなか良い方向に向いておりません。そういうことで、全中建としても何とかそういうものにも中小を応援できる体制づくりや、やり方というのがあるのではないかなと思いました。

全中建の取組として大事なことは何か

廣山 先ほどからいろいろとお考えをお聞かせ頂きましたが、全中建の取り組みとして特に大事だということを話して頂きたいと思います。

業者のモラルを改善する必要が

前田 先だって大阪で自民党の府議会議員との懇談会があったんですが、その中で同じ自民党の府議会議員さんの中でも温度差がありました。いわゆる50%、60%のダンピングで本当にいい仕事ができるのかという代表質問をされている議員さんがあり、また、それは予算を見過ぎるからその数字でできるんではないかというような意見の議員さんもいます。

 行政は何を考えとるのかという質問に対して、行政は業者との調整の中で、いや、できますという話を聞くと、そこでオーケーを出さなければならないというような議会返事が出ているんですが、基本的には業者のモラルの問題かな、どうしても仕事をとりたいために赤字を出してでも仕事をとる業者がおる、つまり、天につばを吐いているような問題かなということで、業者のモラルをもう少し改善する必要があるのではないかという話が出ておりました。

廣山 ダンピングしても業者としては工事を仕上げるわけです。そうすると今、前田さんがおっしゃったとおり、工事費が甘いんじゃないか、70で仕上がっているじゃないかとなる。その辺のところを、本当に、そうじゃないんだ、みんな努力しているんだ、赤字になっていても、それを言わずに努力しているんだということが分かればいいんですが…。

他の業種兼業できる方策の法的措置を

岡本 広報委員長、広報紙を通じて、今の建設業のままで他業種を兼ねられるようなことをPRしてみてください。日本全国で2千カ所以上、過疎の地域があります。そういう地域だけに特例法を適用させることによって、やる意欲のある者が山林とか農地を保有して農業ができるような手段と方法を法的に講じていただきたい。

 他業種へ進出している企業も随分おられますが、その場合、お金も別に用意しなければならないし、社員も自分のところの人間でない状態にして業種を変更しなければいけませんので…。

建設業者が必要なら施策を出して欲しい
金子 先ほど高知県の会員数、建設業界のお話がありましたが、宮城県も580社が11月に316社まで減りました。東日本建設業保証会社の調べによりますと、平成18年度の経常利益は各社平均で528万円ほど赤字です。ですから本当に政治家の先生に、特に建設関連の先生方に、あるいは地元の先生方に、地方の建設業者は要るんですか、要らないんですかって、単純な質問を投げかけないといけない。地元コミュニティーの中で建設業者というのはどうしても必要だと言うんなら、施策を出してもらわないといけない。

岡本 我々が今、地方を代表して、集まってきて、何をなすべきか、何を言うべきかということをしっかり自覚していかないと、先がないように思いますね。

廣山 いろいろ御意見をいただきました。ともかくお金がないということですから、道路財源だけは何が何でも道路整備の費用に回してもらうということで、お願いする必要があるだろうと思います。

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