各地域からの現状レポート 1
建設業界と地域貢献
社団法人愛知県土木研究会 会長 松井守夫
一時は、「元気な愛知」、「愛知は元気だ」と、マスコミ報道が流れていました。しかし、建設業界の一員である私達には、愛知県内が主な活動基盤であるにもかかわらず、多くの会員にそのような実感はありません。
確かに産業界全体から見れば、元気な業界もありました。特に、日本の産業界をリードしてきた自動車産業は、我々の業界から見れば、華やかに映っていたものです。その頃は、建設業界の大切な人材が「自動車業界へ流れている」との噂話も聞かれたほどです。
ところが、アメリカのサブプライムローン問題で状況は激変し、「世界のトップ企業グループに君臨する地元の自動車産業までも・・・」と、私達の業界にも大きな衝撃が走りました。金融危機や景気後退などの暗い言葉が目立つようになり、日本だけでなく世界に目を向けても、経済関係では良いニュースはほとんど見当たりません。更に、社員解雇や採用内定取り消しの報道にいたっては、その事態の重大さに驚きを隠すことはできません。
このような状況で、地元建設業界が住民から頼りにされている報道は、それが小さなことであったとしても、私達にはとても良いニュースに感じられました。特に、昨年の豪雨災害発生時には、地元建設業者が大活躍をして、住民の方々を始め関係機関からも感謝されましたが、このことは私達の爽やかな思い出になっています。
私達は、災害時の緊急対応は「先ずは地元建設業者だ」と自覚し、その対応も重要な地域貢献と考えています。緊急時の即時対応には、地域に精通した地元建設業者以外には考えられないと自負し、日頃から、地域貢献を深く認識して前向きに取り組んでいるのですが、見過ごせない問題もあります。それは、地元建設業界の体力低下です。
このことには、最近の社会情勢や経済情勢が深く関係していますが、会社経営の中では、働き手の減少と高齢化の問題も加わって、「元気」から遠ざかっているような建設業者も少なくありません。また、学生を含めた若者の間で「建設業離れ」の風潮が芽生えていることを危惧していますが、この流れは絶対解消しなければならない問題だと考えています。
災害時の緊急対応に備え、地元建設業者は絶えず健全な体力を維持する必要がありますが、それには栄養に相当する「仕事」が必要です。適正な「仕事」の供給を受けて健全な体力を保持すれば、高レベルの地域貢献が可能です。より一層技術力を高め、質の高い地域貢献をすれば感謝されるだけではなく、結果的に建設業界のイメージアップに繋がって、より魅力的な業界へと変貌することができます。その後は時間の経過とともに、「建設業離れ」は自然消滅することでしょう。私達はこのように信じて研鑽を積んでいます。
災害時の対応以外でも、地元建設業界は最大限の地域貢献をしたいと考えていますが、それには、建設業界に「確かな体力」が必要なことは言うまでもありません。

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- 日時:14:56