特集 建設業界で働く女性たち

2020年12月16日

山本 紗央厘さんに聞く

奈良建設株式会社
(一社)横浜建設業協会

『女性も活躍できる時代つくりたい』

ーーお仕事の内容について教えてくださいーー
 現場管理です。現場の安全管理や測量、材料や施工の段取りを行います。

ーー建設業界に入られたきっかけは何ですかーー
 父が建設業を営んでいて、幼い頃その姿を見ていて、私も一緒に働きたいと思ったのがきっかけでした。入社3年目から3年間産休・育休を取得し、今年の6月に仕事復帰をしました。日々、現場が進んでいくのが楽しいと思うので、現場勤務を希望しました。

ーー建設業界の魅力とはーー
 ものづくりの達成感と、工事を完成させるため、さまざまな会社との繋がりがあって楽しいと思います。
 
ーー男社会と言われている建設業界で女性としてのハンデや逆に良かったことなどを教えてくださいーー
 ハンデと思うことは、力仕事などは女性の運動能力的に男性に劣るところです。
 良かったことは、力仕事などを手伝ってもらう際に、こちらからお願いすることもありますが、周りが察してすぐに手伝ってもらえたりするところです。

ーー現場で働く女性の皆さん(女性技能者・技術者)に対する会社や現場の反応はありましたかーー
 会社は女性社員の採用に積極的で、女性が働きやすい環境づくりを提案してくれます。
 現場では「女性だから」というマイナスの感じはなく、男性社員と同じ仕事をしますが「頑張ってるね!」と応援してもらえることが多いです。

ーー建設業界が変わってきていると感じる点はありますかーー
 昨今は女性技術者が多くなってきたので、現場の環境整備も整ってきて「女性が働きやすい環境」の時代になってきたと思います。最近では、女性ならではの感性や性質を優れた点として有効に思ってもらえたり、女性技術者への理解が高まっていると思います。

ーー家庭と仕事の両立により、周りからのサポートなどがあったら教えてくださいーー
 出産後は子育てをしながらの勤務になるので、現場での勤務は難しいかと思いましたが、保育園の送り迎えや子供の予防接種の予定に対応できるよう現場に対応して頂き、現場復帰することができました。
 
ーー未来の自分についてーー
 子供達が大きくなる頃には、管理技術者になれるように、日々現場で勉強したいと思います。 

ーー建設業を目指している女性に向けて一言ーー
 女性も建設業で活躍できる時代を作りましょう! 

ーー貴女の大切な時間を教えて下さいーー
 仕事が終わって帰宅後のお酒と週末の家族との団欒です。幼児が二人いるので、家では子供達に癒されています。出産後はなかなか忙しくて最近はできませんが、趣味のフットサルに出かけたいです! 


堀籠ゆいさんに聞く

宮城建設工業株式会社
(一社)みやぎ中小建設業協会

『誰からも信頼される重機オペレーターを目指して』

ーーお仕事の内容について教えてくださいーー
 仕事は道路の舗装、補修、一般土木工事で、具体的には舗装工事をしています。
 資格は車両系建設機械、小型車両建設機械、締固め用機械、自由研削砥石、危険物取扱者(丙種)を取得しました。

ーー建設業界に入られたきっかけは何ですかーー
 高校の先生に進められて企業見学をした際に年齢層が近くて話しやすく、とってもいいなと思ったからです。現場経験年数は今年で3年目です。 

ーー建設業界の魅力とはーー
 やりがい(現場の進捗に伴い、現場周辺の住民の方に褒めていただけることなど)が大きく、身体を鍛えつつ仕事ができるところです。
 
ーー男社会と言われている建設業界で女性としてのハンデや逆に良かったことなどを教えてくださいーー
 ハンデは特にないです。力などは、やはり男性に負けるところはありますが、「何でもやります精神」で積極的に頑張っています。

ーー現場で働く女性の皆さん(女性技能者・技術者)に対する会社や現場の反応はありましたかーー
 リフォームなどでの施主への細かな気配り(作業時間、生活への配慮)や、家事を行っている女性目線での気配りをすることで、次からの工事では職人も心がけてくれるようになりました。

ーー会社や現場の反応はありましたかーー
 始めは「大丈夫なのか」などとみんなに心配されていました。また、重いものなどを両手に持つとビックリされたり、機械に乗っていると一般の方々や役所の方にびっくりされました。

ーー建設業界や現場に求める改善点などはありますかー
 今は男女兼用の作業服ですが、女性が増えてきているので、女性用の作業服をいずれ会社で支給していただければと思います。

ーー現場で常に心がけていることはありますかーー
 一つの仕事が終わっても、上司や先輩たちに聞いて次の仕事をする事。現場近くの方に常に笑顔で元気に挨拶する事です。

ーー現場あるあるーー
 表層や路上再生(舗装工事関係)時は、作業時間の都合上、お昼の時間が早くなったり遅くなったりします。

ーー悔しい思いをしたこと、それでも辞めずに続けてこられたことはなんですかーー
 男性よりも体力が劣っていた為、入社時はとても悔しい思いをしましたが、「そんな事で辞めたいと思っては負けだ」と思い、仕事を通して体力を付けることを頑張り、今では大分ついていけるようになりました。

ーー今の仕事に就いて1番嬉しかった言葉等はありますかーー
 工事完成後、一般の方に「綺麗になったね」と言われることです。

ーー未来の自分についてーー
 後輩たちの手本となる重機オペレーターになっていたいです。 

ーー建設業を目指している女性に向けて一言ーー
 現場仕事という男性業界で働いていくことは大変ですが、大変な分やりがいも大きいので、一歩踏み出して一緒に頑張ってみませんか! 

ーー貴女の大切な時間を教えて下さいーー
 幼いころから習っていた民謡・三味線の練習や、飼っている犬、猫と遊ぶこと。また、歌うことが好きなので、歌って発散する事です。現在よく歌う曲は「Uruのプロローグ」と「King Gnuの白日」です。 


坪井 麻紀子さんに聞く

株式会社 正吉建設
(一社)沖縄県中小建設業協会

『「形」になる仕事 やりがいある』

ーーお仕事の内容について教えてくださいーー
 1級施工管理技士・建築士2級の資格を持っています。住宅の設計プランニングなどで、説明する際には3D画像にしたり、お客様にわかりやすくをモットーに努めています。

ーー建設業界に入られたきっかけは何ですかーー
 建築に携わって12年。自家の建替えで、空間が変化していくのが面白いと思ったからです。

ーー建設業界の魅力とはーー
 関わる人達、さまざまな業種の方々との関りは刺激になります。完成していく建物や住宅にはそれぞれの暮らしへの思いが形になることへの魅力があります。また、学校や施設などは機能性、用途を含め違いがあり面白いと感じます。

ーー男社会と言われている建設業界で女性としてのハンデや逆に良かったことなどを教えてくださいーー
 相手の意見を一度受入れ、何を伝えたいかをくみ取り、その結果どう動いたら相手が納得するのかを考えるようになりました。

ーー現場で働く女性の皆さん(女性技能者・技術者)に対する会社や現場の反応はありましたかーー
 リフォームなどでの施主への細かな気配り(作業時間、生活への配慮)や、家事を行っている女性目線での気配りをすることで、次からの工事では職人も心がけてくれるようになりました。

ーー建設業界や現場に求める改善点などはありますかー
 女性より男性の方がわかるだろう、出来るだろうと言う対応や反応もあります。現場について言えば、やはり衛生面への配慮です。トイレ、更衣室などは女性が少なくても確保してほしいです。現場事務所と現場、それぞれの女性への配慮が必要だと感じます。

ーー現場で常に心がけていることはありますかーー
 名前を憶えて、積極的にコミュニケーションをとることを心がけています。

ーー現場あるあるーー
 お昼の休憩時にどこでも寝れることができる職人さんには驚かされることがあります。例えば、階段下、工事近所の駐車場や車と塀の間などです。

ーーご結婚と仕事の両立でつらっかったこと良かったことーー
 子供が休みの時に仕事があると、預け先を探したりお願いすることがしんどいです。実際は、家族や学童などでサポートしてもらっていますが、忙しくかまってあげられないときは「ごめんね」という気持ちを胸で唱えています。 

ーー悔しい思いをしたこと、それでも辞めずに続けてこられたことはなんですかーー
 職人とは関わっている現場の話や久しぶりに会えば「最近どう、元気」など、気さくに話してくれる方も多いです。頑張りを認めてくれ励ましてくれる上司や同僚の存在は大きいです。

ーー今の仕事に就いて1番嬉しかった言葉等はありますかーー
 お客様からの「ありがとう」と、関わった業者さんからの「次回も仕事をお願いしたい。一緒に仕事がしたい」です。

ーー建設業を目指している女性に向けて一言ーー
 建設業は男の人が多いイメージですが(今もまだまだ男社会です(笑))、女性もどんどん増えてきています。創造したものが多くの人が携わって形になる建築の仕事はとてもやりがいを感じると思います。

ーー貴女の大切な時間を教えて下さいーー
 カフェなどでの一人時間。コーヒーが大好きです。ブラック派です。また、読書したりカフェの雰囲気を味わうことが好きです。ゆったり時間で心も体もリフレッシュしています。


櫻庭菜月さんに聞く

内田建設株式会社
(一社)東京都中小建設業協会

『橋梁模型から土木に興味』

ーーお仕事の内容について教えてくださいーー
 現在入社2年目で主に工事写真の撮影などを行っています。入社後、道路維持工事に配属、足立区西新井の主要区画道路②Ⅱ区間電線共同溝整備工事に携わらせていただきました。また、9月中旬頃から足立区関原の街路築造工事及び電線共同溝設置工事(31六―補136関原)その2に携わる予定です。

ーー建設業界に入られたきっかけは何ですかーー
 地元の新聞で、橋梁模型の記事をみて「私もやってみたい!」と思ったことがきっかけでした。土木に興味があったわけではないのですが、ただ模型製作がやりたいという理由だけで、載っていた工業高校の土木・建築科を受験することにしました。その高校に入学し、普段の授業や橋梁模型製作に携わらせていただくうちに土木の魅力を知り、建設業で働くことを決めました。

 
ーー建設業界の魅力とはーー
 何もなかった土地に道路や建物が出来ていく過程を間近で見ることができる事だと思います。また、工事が終了し完成した時の達成感はどの職よりも大きいように感じます。

ーー建設業界で働くことについてご家族の反応はいかがでしたかーー
 元々、母が工業科出身だったこともあるためか特に反対はしていなかったと思います。ですが最初はとても驚いていました。
 

ーー初めて現場へ出た時のお気持ちを教えてくださいーー
 初めての現場は歩道舗装の現場だったのですが、綺麗になった歩道を見て歩行者の方が喜んでいる姿を見てとても嬉しく感じました。その後の現場でも「綺麗にしてくれてありがとう」などと声をかけてくださることもあり、やりがいを感じました。疲れていてもそのような声をかけてくださると、頑張ろうと思えます。

ーー現場に出てみて想像と現実の違いはありましたかーー
 想像していたよりも職人さんに話しかけてもらえて嬉しかったです。長期の現場をやっていた時は、休日の過ごし方や趣味の話をするまでに仲良くなっていました。

ーー現場で困ったことや改善してほしい事などはありますかーー
 特に夏場は汗をたくさんかくので、その時に着替えられるような更衣室などがあったら嬉しいです。現場内に女性が1人しかいない場合は設置してほしいとは言いませんが、これから先、現場内に女性が増えてきたら更衣室や女子トイレなどの設置も検討してほしいです。
 

ーー現場でご自身が守っている行動や言葉などはありますかーー
 分からないことは積極的に聞くようにしています。そのままにしておくと事故につながることもあり得るので、どんなに些細なことでも聞いてメモを取るように心がけています。
それ以外でいうと、机に置く小物や文房具などは明るい色のものやキャラクターが書かれたものを使って気分を高めています。

ーー未来の自分についてーー
 後輩に指導ができるようになっていたいです。働いて楽しいと思ってもらえるような環境づくりのために、セミナー等に参加して女性技術者の方に意見を聞く等してみたいです。

ーー建設業を目指している女性に向けて一言ーー
女性にとって建設業は大変な職業かもしれませんが、その分やりがいや達成感はどの職業よりも大きいと思っています。女性の監督さんや職人さんも増えてきていると聞いているので、男性に負けず一緒に頑張りましょう!
 

ーー貴女の大切な時間を教えて下さいーー
休日は買い物へ出かけることが多いのですが、中でも化粧品や洋服などを見に行く時が一番楽しいです。また、好きな『嵐』のDVDを見たりライブに行ったりしてリフレッシュしています。


井上里沙さんに聞く

福留開発株式会社
高知県中小建設業協会

『子供に「お母さんがつくった道路」と胸を張りたい』

ーーお仕事の内容について教えてくださいーー
 入社後約5年間は現場にて施工管理を行っていましたが、第一子の育児休暇復帰後のH28年度からはi-Constructionの推進チームに所属し、ドローンや3Dスキャナーを使っての3次元測量、計画・解析等を行い、数件の現場と本社を行き来しています。4歳と1歳の子供がいるため残業はできませんが、会社の理解もありフルタイムで働けています。
資格は一級土木施工管理技士を取得しています。

ーー建設業界に入られたきっかけは何ですかーー
 中学生の頃に、「建設や建築の仕事がしたい」と思い、専門の学校へ入学しました。入社して10年目になります。

ーー建設業界の魅力とはーー
 やはり後世に残る「もの」ができることです。
自分の子供に「お母さんが造った道路だよ!」と言えたら誇らしいですからね。

ーー現場で働く女性の皆さん(女性技能者・技術者)に対する会社や現場の反応はありましたかーー
 私が入社した頃は、新卒者を1名採用するかしないかの時代でした。しかし、そのような状況の中で女性である自分を採用してくれた社長をはじめ会社の皆さんにはとても感謝しています。
また、最初は現場に女性がいること自体が珍しかったため、協力業者の方には、よく二度見されていました。(笑)

(向かって一番右)

ーー建設業界や現場に求める改善点などはありますかー
 私の働く会社では「男性だから。女性だから。」という境界がなく技術者として見てくれていると思うのですが、まだまだ建設業界は女性技術者が少なく、逆に女性技術者という存在を特別に扱っているように思います。
建設業界に携わる技術者の思いは同じだと思うので、あえて【女性】というところを強調せず、【技術者】として見て欲しいと思います。
また、担当する現場には女性専用トイレを始め、現場事務所には女性専用の休憩室(更衣室)があり大変助かりました。

ーー現場で常に心がけていることはありますかーー
 あいさつはもちろんですが、自分から積極的に話しかけたりしています。
初めは目も合わせてくれなかった作業員の方が、色々な話(仕事以外のプライベートなことも)をする中で目を見て話しをしてくれるようになると、とても嬉しいです。

ーー家事(ご結婚)と仕事の両立でつらっかったこと良かったことーー 
 今まででしんどいな…という事はありませんでした。特に、結婚する前から、今の仕事を辞める気持ちはないことを主人に話していましたので、家庭の事も協力してもらっています。
しかし、子供が病気などで仕事を数日休まないといけないときなどは、会社へ迷惑がかかってしまう申し訳なさと、子供といつも一緒にいてあげられたら…という気持ちで複雑な気持ちになります。

ーー今の仕事に就いてつらかったこと、または1番嬉しかった言葉等はありますかーー
 ある現場で現場代理人になった時、発注者にあいさつへ行くと第一声が「え?女性なの?」と言われてしまいました。その時は笑顔で対応したものの、とてもショックでした。
しかし、数年後に担当者の方にお会いする機会があった際に、担当者だった方からお声をかけて頂き、「頑張っているんだね!」と言われた時にはものすごく嬉しかったです。

ーー未来の自分についてーー
 現在、「積算」を勉強しているので、一日でも早く会社の即戦力となるような力を身につけたいです。
まだ子供が小さくて難しいかもしれませんが、再び現場へも出たいですね!!

ーー建設業を目指している女性に向けてメッセージをーー
 実際就職してみると思い描いていたものと違う現実があり戸惑うこともありましたが、自分にはこの世界しかないと思って仕事をしています。
土木にも色々な役割、分野があるので、自分の興味のあるものにどんどん足を踏み入れて選択の視野を広げていってください。
今は環境も整ってきていますので、女性だからと躊躇せず、建設の世界に興味がある方は一緒に建設業を盛り上げていきましょう!

ーー貴女の大切な時間を教えて下さいーー
 仕事とプライベートの切り替えはしっかりしています。というか、17時以降はお母さんになってしまいますので…でも、その時間が私にとっては大切な時間だと思います。いつもバタバタしていますが、毎日充実しています。
そして、毎晩のビールは最高です!(笑)