特集 建設業界で働く女性たち

2024年01月26日

望月 野亜さんに聞く

鈴与建設 株式会社
 静岡県中小建設業協会

『働く環境 自らつくる喜びも』

ーーお仕事の内容について教えてくださいーー
 現場監理を行っています。今まで関わった仕事は橋脚下部工事、舗装工事、公園工事などがあります。

ーー建設業界に入られたきっかけは何ですかーー
 高校時代、物理や数学の教科が好きで土木科の大学へ進みました。インターンシップで、ゼネコンの仕事を目にして日々変化していく現場に対応し、指示する監督業に魅力を感じました。

ーー建設業界の魅力とはーー
 毎日発見や勉強ができることです。今まで経験しなかった工種や手法を見て学ぶことができ、新しいことをたくさん吸収できます。

ーー建設業界で働くうえで女性としてのハンデなどはありましたかーー
 大ハンマーで杭打ちをすると、次の日に全身筋肉痛になります。現場で困っていると職人さんが笑いながら手を貸してくれます。本当に有難い限りです。コミュニケーションを取るきっかけにもなり、明るい雰囲気で現場を進 
めることができています。

ーー建設業界で働く女性に対する会社や現場の反応はどうでしたかーー
 作業着の生地が薄いものから少し厚手のものに変わりました。男性職員も含め会社全体の作業着の見直しにも繋がり、現在、社内で作業着を変更しようという模索が始まり、ズボンの色を薄い水色から透けない濃い色に変える
ことなどを検討しています。 

ーー女性が働き続けるために建設業界に求める改善点はありますかーー
 事務所のトイレは浄化槽を設置して水洗トイレとなり、冬でも快適に使用できるよう、暖房便座を設置しています。休憩所も改善されてきており、現在、特に不満に思っていることはありません。

ーー現場で常に心がけていることなどはありますかーー
 人とのコミュニケーションを大事にしています。相手の目を見て話すことや名前を覚えて、直接確認、指示ができるように心掛けています。

ーー仕事をしていく中で悔しかったりつらい思いをしたことはありましたか。それでも辞めずに続けられたことは何でしたか。ーー
 砂ぼこりや排気ガスにさらされる現場で肌荒れしたことです。事務員の方がおススメとして、日焼け止めには某メーカーのUVフェイスプロテクターが良いとか、Wトリートメントオイルを化粧水前に塗ると乾燥防止になることや、ほかにも乾燥防止のためには現場から戻ったらこまめに顔についた汚れを落とすことが重要などなど教えてくれ、会社の人の温かさに触れることができる職場だと思っています。

ーー今の仕事について一番うれしかった言葉はありますかーー
 協力業者の若い方から「こんなに温厚な職長は初めてだった。今までの現場で一番雰囲気が良く、わからない事があった時、職長に気兼ねなく質問できたため、たくさんのことを丁寧に学べた現場だった」と言ってもらったことです。

ーー未来の自分についてーー
 人との関わり方は今のままで、判断力や決断力のある人間になっていたいです。 

ーー建設業を目指している女性に向けて一言ーー
 男女関係なく働くことができる環境になっていると思います。まだまだ女性の技術者は少ないですが、自分の働く環境を自分たちでつくっていける楽しさもあると思うので、建設業に興味を持っていただければ幸いです。

ーー貴女の大切な時間を教えて下さいーー
 お酒、ゴルフと建設業らしい趣味になってきました。

**大石先輩からのメッセージ**
 入社5年目。複数現場を任せていますが、現場運営で安心感があります。職人さん、職長さん、部下、同僚、上長、発注者、皆を取り込む環境づくりに感銘を受けています。巻き込まれる方も楽しんでいます。上長としては、困った時の対応のみ。アルコールの場での段取り設定も任せて安心。ほんの少しの忖度、振る舞いに助けてもらっています。


岩本さんに聞く

岳大土木 株式会社
(一社)町田市建設業協会

『子育てサポートで安心』

ーーお仕事の内容について教えてくださいーー
 工事支援係として、現場監督の書類作成のお手伝いをしています。日常管理や写真整理等、着手から竣工までの書類作成をしています。

ーー建設業界に入られたきっかけは何ですかーー
 もともと建設(ものづくり)に興味があり、公共工事を主として行っている会社で道路や河川がどのようにできるのか知ってみたかったので、この業界に入りました。

ーー建設業界の魅力とはーー
 みなさんが使う道路など、何もないところから完成までかかわることができるところです。

ーー建設業界で働くうえで女性としてのハンデなどはありましたかーー
 現場の監督さんや作業員さんが親切に優しく接して下さるので、女性としてハンデがあると感じたことはないです。

 ーー建設業界で働く女性に対する会社や現場の反応はどうでしたかーー
 現場の監督さんや作業員さん達が温かく歓迎してくださいました。

ーー女性が働き続けるために建設業界に求める改善点はありますかーー
 子育てをしながら働いていける環境づくり。急なお休みでもサポートしてもらえる環境があれば、安心して働いていけると思います。

ーー現場で常に心がけていることなどはありますかーー
 笑顔で挨拶することです。現場にいらっしゃる業者さんにも同じように挨拶をしています。

ーー仕事と家庭の両立に対する会社のサポートなどがありましたら教えてくださいーー
 子供の体調不良等によるお休みや学校の行事などがあったときに、休日の調整や働く時間など、相談ができてとても働きやすい環境を作ってもらっています。

ーー今の仕事について一番うれしかった言葉はありますかーー
 監督さんや作業員さんに「ありがとう」と言ってもらえると、少しでも現場の力になれたと嬉しく思います。

ーー未来の自分についてーー
 現在はまだ一部の書類作成ですが、書類のすべてを作成できるようになることです。 

ーー建設業を目指している女性に向けて一言ーー
 私もそうでしたが、建設業界は男性がたくさん働いていて女性の活躍しているイメージはあまりなかったのですが、実際の環境はぜんぜん違い女性が活躍できる場面がたくさんあると思います。

ーー貴女の大切な時間を教えて下さいーー
 家事を終わらせてゆっくりとビールを飲むことです!

ーー貴方の地元自慢ーー
 会社のある町田には(南町田にある)グランベリーパークというショッピングモールがあります。買い物もできて近くに公園もあり、とても素敵です。


小野寺 楓さんに聞く

株式会社 瀧澤建設
全中建多摩

『とにかく笑顔 仕事は全力』

ーーお仕事の内容について教えてくださいーー
 建設工事の現場技術者を指揮監督し、工事全体を管理することです。

ーー建設業界に入られたきっかけは何ですかーー
 特に憧れていたわけではありませんが「毎日が楽しい」と思えたので、なんとなく建設業に向いているかもしれないと思い入りました。

  

ーー建設業界の魅力とはーー
 一般の人は見られない、工事現場の中を見ることができる。建設業界の方々の大半がフレンドリーに接してくれる。普通に生活していく中で、注目していなかったら気づかないところに気付けること。(建物や道などを作っていく苦労を知ったことで、感謝の気持ちが生まれた)

  

ーー建設業界で働くうえで女性としてのハンデなどはありましたかーー
 関わる人、全員が優しく接してくれる。月経の時だけは、たくさん歩いたりするので、きついと感じることがあり、男性しかいない分、言い出しづらいなと感じてしまう。

 ーー建設業界で働く女性に対する会社や現場の反応はどうでしたかーー
 初めて会う人の大半から「よくこの業界に入ってきたね」と言われます。

ーー現場で常に心がけていることなどはありますかーー
 いろんな人とたくさんコミュニケーションをとって仲良くなり、少しでも楽しく仕事ができるように心がけている。毎日笑うこと。人間観察。 

ーー仕事の中で悔しい(悲しい・つらい)思いをしたこと、それでも辞めずに続けてこられたことがありましたら教えてください。ーー
 何も知らないことを一から教えてもらったのになかなかできなくて、悔しくてずっと考え込んでいた時に、現場の作業員さんや職員の方々が励ましてくれて、頑張れた。

ーー今の仕事について一番うれしかった言葉はありますかーー
 「私がいないと仕事がつまらない」と職人さん達が言ってくれたことです。

   

ーー未来の自分についてーー
 いろんな人から愛される人間になりたいです。 

ーー建設業を目指している女性に向けて一言ーー
 とにかく笑顔でおしゃべり! やるときは全力で!!

ーー貴女の大切な時間を教えて下さいーー
 恋人と一緒に過ごす時! 実家にいる犬と戯れる時。ごはんを食べる時。

**高橋先輩からのメッセージ**
土木業界は男性しかいない職場なのに、よく来たな、すぐに辞めるのでは…..と最初は思いましたが、意外と職場環境に馴染んで、職人さん達と和気あいあいと仕事をこなしていた。入社半年後から私の下で働くことになり、測量・安全・品質・出来形・各管理を覚え、今では現場監理を任せられる存在になりました。仕事終了後、翌日の段取りや作業内容の確認をし、やる気を持ってコツコツと一生懸命頑張っている。今後は自分の目標(夢)を持って行動し、社会に貢献できる人材になってほしい。

    

**一緒に働く平賀様からのメッセージ**
 ・男女平等とは言えど、建設業界はまだまだ男性がメインの業界となっており、女性への配慮が足りないと感じる部分があります。
 ・内勤者では、女性だけがお茶くみ、掃除をやっていても疑問に思わない、声を上げない風潮も。
 ・生理休暇があっても有給ではないため使いにくいし、突然来るものでもあるため言い出しにくい。もっと使いやすいように工夫してほしい。
 ・現在の働き方をしていて、今後も妊娠、出産をした場合、本当に産休・育休を取ることができるのかが疑問です。(当社では制度としてはあるが、まだ経験をした社員がいないため特に不安を感じる。)
  女性に限らず、男性社員に対してもきちんと取得できるようにならなければ、社会全体として女性の負担が増え、働きつづけることができない女性が増えるのではないか。
 ・もっと男女ともに働きやすい環境を作るために、意見交換をする場があると良いのではないかと思います。


中村美紀奈さんに聞く

伊藤興業 株式会社
(一社)東京都中小建設業協会

『大変だが達成感も多い』

ーーお仕事の内容について教えてくださいーー
 主に改修工事などの施工管理です。現在の保有資格は2級建築施工管理技士補、2級色彩コーディネーター、ビジネス能力検定3級です。

ーー建設業界に入られたきっかけは何ですかーー
 幼いころに『劇的ビフォーアフター』という番組を見て、インテリアデザインの専門学校に進学しました。デザインを学んでいく中で、施工を学ぶ必要があると思ったことが建設業界に入ったきっかけです。

ーー建設業界の魅力とはーー
 小さなことから大きなことまで完成していく過程を間近で見れること。その中で知らないことがたくさんあることです。わからないことは大きく分けて用語と施工の仕方です。用語が分からないと会話の意味が全く理解できないのでこの先、不安しかなかったです。1つの用語を調べてもその説明の中の用語が分からなくて大変でしたし、何回も同じ用語を未だに調べながら少しづつ覚えてます(笑)
 施工の仕方は本よりも職人さんや先輩のやってることを見て、聞くことが私は一番身につくと思ってます。あとはYouTubeなどでもいろいろな施工が載っているのでたまに活用しています。

ーー建設業界で働くうえで女性としてのハンデなどはありましたかーー
 劣るのはやはり力の差です。特に現場の道具や物、材料など大抵が重く、男性との力の差を強く実感しました。女性としてと言えるか分かりませんが、汚れや散らかりがちな現場などで皆が過ごしやすいように保つなど、小さなことですが意外と現場の流れにつながることも多く、喜ばれます。
 あとは女性の監督員はまだ男性に比べて少ないので、顔を覚えてもらいやすいです。

 ーー建設業界で働く女性に対する会社や現場の反応はどうでしたかーー
 初めて会う方などは現場の人ではない(事務員)と思われることも多々ありますが、「女性の監督さんめずらしいね」「頑張ってね」と声をかけてくださったり、女性では大変なことなど手伝っていただいたりと優しい方が多い印象です。

ーー女性が働き続けるために建設業界(現場)に求める改善点などはありますかーー
 現場で使用するお手洗いに洋式が無いことや、サニタリーボックスが無い、鍵付きの更衣室が無いなどもう少し配慮があれば女性も過ごしやすくなるのかなと思います。

ーー現場で常に心がけていることなどはありますかーー
 挨拶することと、まわりを(現場や人)よく見ること。

ーー仕事の中で悔しい(悲しい・つらい)思いをしたこと、それでも辞めずに続けてこられたことがありましたら教えてください。
 強いて言えば現場でも現場以外でも自分が分からないこと、できないことがあってまわりの足を引っ張ってしまったり、知らない間に物事が進んでしまったときは、悔しいと同時に頑張ろうと思えます。 

ーー今の仕事について一番うれしかった言葉はありますかーー
 特にないですが、先輩が職人さんたちから「また一緒に仕事ができてうれしい」と言われているのを聞いて、私もそんな風に言われる人になりたいと思いました。

ーー未来の自分についてーー
 資格を取得し施工もデザインも一通りできるようになって、楽しく笑って過ごしていられればなと思います。 

ーー建設業を目指している女性に向けて一言ーー
 大変なことはたくさんあると思いますが、そのぶん達成感も多い業界だと思います。一緒に頑張りましょう。

ーー貴女の大切な時間を教えて下さいーー
 出かけることが好きなので、たまには旅行や遠出をすることが大切な時間です。行ったことのない場所に行ってみたりその計画を立てたり、行った場所で写真をたくさん撮って思い出を見返すのも楽しいですね。
 いつかは日本一周してみたいです。(笑)

**光木先輩からのメッセージ**
 2年前新卒で入社してきて、男性社員が大半で慣れない環境の中どこまでもつかな、と言うのが率直な気持ちでしたが、日々過ごしていく中、何事にも真面目に取組み、覚えたいという意識があるように感じていきました。これからも少しづつ成長し、初心を忘れず頑張って下さい。期待しています。


溝口さんに聞く

岳大土木株式会社
(一社)町田市建設業協会

『子育てと現場支援業務を両立』

ーーお仕事の内容について教えてくださいーー
 工事支援係として、現場監督の書類作成のお手伝いをしています。具体的には、日常管理から竣工までの書類の作成、図面や数量内訳書、材料関係の内容を確認しデータの管理、などです。

ーー建設業界に入られたきっかけは何ですかーー
 以前の会社で初めて図面に触れ、この図面の寸法を元に建設されていくことに興味を持ち、造り手に分かりやすい施工図を作図したいと言う思いからCADを習得し、資格取得後この業界に入りました。

ーー建設業界の魅力とはーー
 ずっと地図に残る仕事です。公共工事の大きな建設物が竣工後も自分が携わった建設物として残っていくことです。

ーー建設業界で働くうえで女性としてのハンデなどはありましたかーー
 子育てをしながらなので、繁忙期などは時間に制限があることです。どの職場でもそうだと思いますが、時短勤務のため工事竣工まで短い時間で計画的に集中して仕事をこなすこと。仕事を仕上げたい焦りと、家に早く帰らなければならない焦りの両方があります。

 ーー建設業界で働く女性に対する会社や現場の反応はどうでしたかーー
 みなさん温かく迎えてくれました。来社されたお客様に、会社の雰囲気が柔らかくなったねと言っていただく事が多々あります。

ーー女性が働き続けるために建設業界(現場)に求める改善点などはありますかーー
 時短勤務で子育てと両立していますが、さまざまな教育訓練を受けることや、社内での周知をお願いするなどサポートして頂ける制度があれば女性でも働きやすい環境になると思います。 

ーー現場で常に心がけていることなどはありますかーー
 元気よく、明るくあいさつすること。同僚だけでなく、他の業者さんにも同じくあいさつすることです。

ーー仕事と家庭の両立で特に大変だったこと、周りからのサポートなどがあったら教えてくださいーー
 子供の予定に合わせて勤務日数や勤務時間を相談させてもらい、自分がいない日に他の方がサポートしてくれる環境をつくってくれています。

ーー今の仕事について一番うれしかった言葉はありますかーー
 限られた時間の中で、無事竣工検査を終え「お疲れさまでした」と言われた事が、安堵感と充実感がありとても嬉しかったです。

ーー未来の自分についてーー
 現場の状況を把握して、現場監督の力強いサポートをしていきたいです。 

ーー建設業を目指している女性に向けて一言ーー
 世間が思っている建設業界の悪いイメージは、実際働いてみるとありません。私の中での建設業界は、汚い、怖いなどのイメージがありましたが、会社の環境はとても清潔で過ごしやすいです。作業着を着て、ものづくりをしている職員を尊敬していますし、皆さん人柄も温かい方ばかりです。とてもやりがいのある仕事だと思います。 

ーー貴女の大切な時間を教えて下さいーー
 帰宅後に出迎えてくれる犬に疲れをとってもらうこと。

ーー地元自慢ーー
 会社のある町田には、四季彩の杜 西園があり、ペットも入れる公園におしゃれなカフェが併設されていて人気の場所になっています。