特集 建設業界で働く女性たち

2017年09月08日

建設業界で働く女性のつどい

 建設業界でも最前線の現場で活躍する女性が増えています。全中建では平成29年7月19日、事務局に建設業界で活躍する女性の皆さんに集まっていただき、現場での実際の苦労や、やりがいなどについて語ってもらった。

― 実際に現場へ出て思ったこと ―
 當間 現場は男社会で自分には技術もなかったことから「おい!」としか呼ばれず仕事も雑用ばかりだった。今では知らない職人さんから 下の名前で呼ばれたり仕事も任せて貰えるようになりました。
 新倉 上司から「まる子」と呼ばれるので、まわりからも「まるちゃん」とニックネームで呼ばれる。現場は想像より働きやすかったです。
 須藤 現場はもっと汚い世界だと思っていたので覚悟をして入ったが、思ったより働きやすいと感じた。怒られることもあるが、女性が少ないせいか皆さんはとても優しい。良い意味で女性ならではの仕事の頼み方も学んだと思います。
 鈴木 まだ、現場に出ていないので分からない。これから自分の立ち位置なども含めて勉強していきます。
 須藤 デザインや設計をやってきたが、図面などは書けずにこの業界へ入りました。図面だけでは何も見えてこない、建設業界へ入ってみなければ分からないと思っていました。

― セクハラ等について ―
 新倉 最初から特別何も思わなかった。セクハラまがいの言葉をかけられることもあるが、あまり気にならなかったです。
 須藤 セクハラかなと思う会話もあるが、かわし方も学んでくるので大丈夫です。むしろ男性の方がセクハラ・パワハラの言葉に敏感になっている気がします。
 全員 だんだんセクハラとも思わなくなっている。(笑)
 須藤 新倉さんへの質問です。設計を理解して現場に入ることの利点を教えていただけますか。
 新倉 図面が理解できて記号の意味が分かるのが1番大きいと思う。寸法を見て3Dで想像もできることです。
 鈴木 須藤さんに質問です。現場での仕事の頼み方を教えて下さい。
 須藤 上司に言われたとおりを職人さんに伝えると怒られることがあり、なぜ?と思ったが、仕事の段取りを明確に伝えることができておらず、いまはそれを心掛けている。あとは女性なので、可愛い子ぶって頼むのも1つです。(全員 笑)
 新倉 重い物もふざけて「ああ腕が」と言うと、男性が持ってくれます。小芝居は大事です。(全員 笑)
 須藤 人によっては寡黙な方もいて、時間がかかっても距離を縮める努力をしないと仕事が進まない。最後は1番仲良くなっていることがあります。

― 休暇について ―
 須藤 現場が動いていると取れないのは分かっているので慣れてはきます。1週間のタイムスケジュールを作成している。仕事のスケジュールを30分刻みに組んで、上司と無駄な時間の使い方がないか検討をしている。仕事を見える化したことで残業を減らすことができています。

― 現場環境の変化 ― 
 當間 あまり変わっていないと思う。(全員)現場の所長によって良かったり悪かったりです。
 須藤 トイレを女性用に用意してくれたこともあったが、男性が並んでいると悪い気がしてしまう。

― 落ち込んだときの解消法 ― 
 新倉 ガンガン飲んで寝て忘れますっ!!(全員 笑)
 當間 先輩や上司に話しをして聞いてもらっています。
 須藤 年齢が近い先輩と話をします。弱みを見せられる先輩の前で思いっきり泣かせてもらっています。
 鈴木 同期の子と愚痴りながら帰ります。

― 家族の反応は ―
 新倉 あなたは大丈夫ね!と言う感じでした。
 當間 自分がやりたいと思うならと理解してくれました。
 須藤 反対はありませんでしたが、たとえ反対されても私はやります!(全員 笑)
 鈴木 すごく心配されましたが、でもやりたいならと言ってくれました。

― 今一番つらいと思うこと ― 
 新倉 現場までの通勤が長いのがきついです。
 當間 今のところありません。暑さはつらいけどそれが逆に楽しい。まわりはバテてますが自分だけ元気だったりします。
 須藤 特別ありません。何かあったらできるだけその場で解決するようにしています。
 鈴木 今はありませんがこれから何があるのかは不安です。同期の男の子には負けたくない気持ちもあり、女性だからと常に助けられるのも悔しいです。

― 結婚や出産後は ―
 當間 続けたい。できれば現場に戻りたいです。
 全員 続けたいです!

― 上司への要求 ― 
當間 何かあれば上司にもはっきり言うので特にありません。
 須藤 上司に対し親のように何でも話すので特にありません。

― 後輩に対して ―
 新倉 何でもかんでも後輩にやらせるのではなく、自分ができることはやるようにしています。
 須藤 友達のようになるが、なめられないようにしている。(全員 笑)注意するときにきつい言い方になりそうですが受け止めてほしいです。
 當間 私ははっきりと言います。「ふざけんじゃない!」とか(全員 笑)。男口調で強く言わないと聞いてもらえないので。

― これからの夢は ―
 當間 もっと女性が増えたらいいなと思う。とくにオペレーターの人が増えたらと思います。
 新倉 女性の後輩が増えたら良いと思います。男性ばかりだと口調もきつくなりがちになります。
 須藤 女性だけの現場。管理者だけ女性でやることは可能かなと思います。そんな現場だったら職人さんの気持ちも上がるのではないかと思います。(全員 笑)
 鈴木 後輩ができたらなんでも話せる先輩になりたいと思います。
 事務局 建設業で働く4名の若手女性の皆さんは、つらいことや悔しかったことすべてをバネにして精一杯仕事をされていました。女性であることがこんなにも輝く職場であったことを改めて気づかせて下さいました。
 皆様ありがとうございました。


横山侑奈さんに聞く

(一社)愛知県土木研究会
 海部建設株式会社

『ポジティブに楽しくを心掛け』

――お仕事の内容を教えて下さい――
 予算内で設計図どおりに工期に間に合うよう、いつどのような工事をするのか、どこの会社の人間をどれくらい入れるのかと言ったことなどを考えたり、安全性に配慮して工事が円滑に進行するよう完成に向けてスケジュールを決めて施工を管理する仕事です。

――建設業界に入られたきっかけは何ですか――
 大学で土木関係を専攻しており、いまの会社を紹介して頂いたのが建設業界に入ったきっかけです。
 
――建設業界の魅力とは――
 何もない所に1つのモノが出来上がることや、地図に残ったり、人の記憶に残るモノを造れること。また、人々の暮らしや防災に役に立てることが魅力です。

――男社会と言われる建設業界で女性としてのハンデや良かったことなどありますか――
 まだ土木現場で働く女性は少ないので珍しがられますが、少ないからこそ逆に面倒をみてもらえたりするような気がします。また、男性が頼むより女性が頼んだ方が聞き入れてもらいやすかったりするような気もします。

――現場で働く女性の皆さん(女性技能者・技術者)に対する会社や現場の反応はどうでしたか――
 女性で事務職以外の入社は私が初めてなようで、会社の方にはいつも心配され気を使って頂いています。現場では多くの職人の方に驚かれますが、現場が明るくなったと言ってもらえることもありマイナスな反応は無かったかなと思います。

――女性が働く上で、建設業界や現場に求める改善点などはありますか――
 女性用サイズや透けにくくなっている作業着がお店ですぐに買うことができたり、軽量化された作業道具があればもう少し作業しやすいかなと思います。

――現場で常に心がけていることはありますか――
 ネガティブに仕事をしていると周りの雰囲気を悪くしたり、作業効率が落ちたりと悪循環になってしまうので、協力会社の方達とコミュニケーションを取りながらポジティブに楽しく仕事をしようと心掛けています。

――未来の自分について――
 資格を取得し、長く建設業にかかわっていけたらいいなと思います。

――建設業を目指している女性に向けてメッセージを――
 建設業界にはまだまだ女性は少なく懸念されがちですが、いまは、女性が働きやすいように少しづつですが変わってきていますので、興味を感じているのでしたらぜひ飛び込んでみて下さい。

――貴方の大切な時間を教えて下さい――
 友達と食事に行ったり、お酒を飲みに行ったり、旅行することです。せっかくの休日を家で過ごすのはもったいないと思ってしまうので基本的には外に出てリフレッシュしています。


海宝真波さんに聞く

静岡県中小建設業協会
加和太建設 株式会社

『人の生活の根幹を支えたい』

――お仕事の内容を教えて下さい――
 土木工事の現場員です。測量、材料の見積もりや発注などを含めた現場の段取り、書類の作成、安全書類や安全施設など安全関係の整備、出来形および品質の管理を日々行っています。職人さんと相談して現場を進めていくことが仕事です。

――建設業界に入られたきっかけは何ですか――
 大学で造園を専攻して学んでいるうちに、人の生活の根幹を支えたいと思うようになり、建設業界に入りました、土木の現場員として入社して今年で2年目になります。
 
――建設業界の魅力とは――
 人々の暮らしの「あたりまえ」を支えることができることです。

――男社会と言われる建設業界で女性としてのハンデや良かったことなどありますか――
 「結婚したら仕事辞めるんでしょ?」「子どもができたら、現場の仕事は難しいよね」とよく言われます。こういう言葉には少しカチンとくることは事実です。ほかの業界でも、こういった言葉をかけられる女性は多いようなので、そういった偏見が、未だに根強く残っていることを強く感じさせられます。私自身は、人それぞれ建設業の仕事に対する向き不向きはあれど、ハンディと言うものは無いと思っています。とは言え、本当にできないことは、無理をすると危険が伴う場合もありますので、先輩を頼ることがあります。逆に、先輩が体調不良の場合は、私が代わりをすることもあります。小柄なので鉄筋の間など狭いところでも身動きが取りやすいのは良いところだと思います!また「女の子がいると現場が明るくなるね」といろいろな方に言って頂けるのは嬉しいです。

――女性技能者・技術者に対する会社や現場の反応はどうでしたか――
 女性技術者が複数人いるということで、現場に女性用の洋式お手洗いや更衣室が設置されるようになりました。もともと弊社が女性の採用や子育てをしながら働くことにもともと積極的でしたので、大きく変わったことはないと思います。初めは社外の方に驚かれることも多かったのですが、抵抗なく受け入れて頂いているのかなと思います。

――女性が働く上で、建設業界や現場に求める改善点などはありますか――
 男女関係なく、適材適所の考えやお互いにサポートしあうと言う姿勢が必要だと思います。あと、女性用サイズの作業着や安全靴がお店ですぐに手に入ったり、扱いやすくてデザインもかわいい作業用のがあれば、仕事もしやすいし、楽しくなるのになあと感じています。現在の私の悩みは、手を洗うためのきれいな水の確保です。いま配属されている現場は建築工事と一緒に実施していて、仮設の水道が引いてありますが、土木の現場では水道を引けないことの方が多いので・・・・。

――現場で常に心がけていることはありますか――
 顔を合わせたら挨拶をすること、何か協力してもらったら「ありがとうございます!」と言うこと、話しかけられたら笑顔で対応することの3つを心がけています。また、メモや先輩への伝言に付箋を使うことがよくあるので、かわいい付箋やおもしろい付箋などを事務所のデスクに置いています。

――悔しかったこと、それでも今の仕事を辞めずに続けてこられた理由は何でしょうか――
大きな失敗をしたときは、とても落ち込みました。幸い大事に至らずに済んだのですが、たくさんの方にご迷惑をかけてしまいました。「また失敗してしまうのではないか」と毎日不安で、逃げ出したい気分でした。ですが、会社の先輩方に「俺も間違えたことがあったよ」「次から気を付けような」「ひとつ勉強できたな」といろいろ励ましの言葉を頂き、投げ出さずに仕事を続けることができています。
 
――未来の自分について――
 誰かの目標になれるような現場代理人になれたらいいなと思います。

――建設業を目指している女性に向けてメッセージを――
 自分がやりたいことを大事にしていれば、それに共感してくれる人や会社が必ず見つかると思います。周りの言葉や噂に惑わされないで、自分がやりたいことを大切にしてほしいですね。

――貴方の大切な時間を教えて下さい――
 千葉の実家に帰って猫と一緒に昼寝をすること、友人と食事に行ってお酒を飲んでカラオケでオールをすること(カラオケをして朝まで過ごすこと)、好みの文房具を探して回ること、・・・等々。最近は社員で集まってスポーツをすることが流行っていて、私も月1でフットサルに参加しています。これをきっかけに、トレーニングシューズを購入しました!


山口 小優美さんに聞く

一般社団法人 山形県建築協会
株式会社 市村工務店

『背筋をピンと張り印象良く』

――お仕事の内容を教えて下さい――
 一般住宅の現場監督として、お客様の笑顔と豊かな暮らしを作る仕事をしています。

――建設業界に入られたきっかけは何ですか――
 小学校の修学旅行のとき訪れた日光東照宮で、こんなにも存在感のある建物を見たのは初めてで感動したのがきっかけです。工業高校に入学して建築を学ぶにつれ、社寺だけでなく一般建築にも興味を持つようになりました。任される仕事も多くなってくる、頑張り時の3年目です。
 
――建設業界の魅力とは――
 人の暮らしを豊かにできることだと思います。

――男社会と言われる建設業界で女性としてのハンデや良かったことなどありますか――
 ハンディは無いと思っています。力の面など男性より劣っているところはあるかもしれませんが、でも、それをハンディだと思って、甘えていては成長しないと私は思います。その反面、重いものを1人で運んでいるとき、職人さんから「ほだなもたがげるんだかしたぁ?!(そんなものも持てるの?!」と驚かれたときは嬉しかったです。

――現場で常に心がけていることはありますか――
 「最高のものをつくろう」です。私の会社では、この言葉を大切にしています。お客様にとっても、会社にとっても「最高のもの」と言えるように日々仕事をしています!もう1つ心がけているのは「姿勢」です。現場で大工さんと打合せているときに、片方に体重をかける形で立っていたら「若いうちからそんな楽な姿勢ばっかりしていると、俺みたいになるぞ」と注意を受けました。それから、他の人も同じように立っているのを見た時、態度が悪いようにも見えました。「姿勢が悪い」と言うことは「態度が悪い」ということなのだと気づきました。いつまでも、背筋をピンと張れるように、他人からの印象を悪くしないように気をつけたいと思っています!

――悔しかったこと、それでも今の仕事を辞めずに続けてこられた理由は何でしょうか――
 続けての発注ミスや段取り不足で現場に大きな迷惑をかけたことがありました。自分はこの仕事に向いていないのかと思ったりもしました。そんな時、声をかけてくれたのが先輩や現場の職人さんでした。「誰だってミスをすることはある」「次は間違えないように気を付けて」と励ましてもらいました。次に頑張るチャンスをもらえたことと、困ったときには力になってくれる人たちがいるという事に感謝したいです。

――未来の自分について――
 後輩指導ができる自分になりたいです。仕事についての理解を高め、教えられるようになることが、自分自身が成長した証だと思います。

――建設業を目指している女性に向けてメッセージを――
 自分がやりたいと思う事、好きな仕事をしてください。そして、その気持ちを忘れないでください。

――大切な時間を教えて下さい――
 飼っているウサギと遊んであげる時間です。ゲージの前を通ると必ず寄ってくるので、頭を撫でてあげます。気持ち良さそうにしているのを見ると、とても癒されます。


1級建築士 佐藤きよねさんに聞く

神奈川県中小建設業協会
株式会社なごみ建設

『区別と差別の違いを男女ともに理解を』

――お仕事の内容を教えて下さい――
 主に営業(顧客との打合せ)、現場監理、設計、見積もり等です。

――建設業界に入られたきっかけは何ですか――
 ハウスメーカーに入社後、建築事務に配属され、建築社員の業務の手伝いをしていて図面も多少読めるようになったころ、女性の建築士がコンサルタントに来られて、その方といろいろお話しをしている中で、建築の仕事を勧められたことが大きいです。

――建設業界の魅力とは――
 かたちになる事でしょうか!

――男社会と言われる建設業界で女性としてのハンデや良かったことなどありますか――
 男性社員ならできる力仕事や工具作業などで、できないことがあります。女性だからと得られたことは特にないと思いますが、可愛がられたり、特別扱いされたことはありました。個人的には得したこともありますが、だからと言って良かったとは思っていませんが・・・・。

――会社や現場の反応はいかがでしたか――
 現場によっては更衣室が無い場合もありましたが、中小企業だったこともあり、女性が現場に入ることで見直しをされ更衣室を設置してもらうことができました。

――女性が働く上で、建設業界に求める改善点を教えてください――
 性別は関係なく、適材適所に人員を配置して、区別と差別の違いを男女ともに理解できればいいと思います。

――現場で常に心がけていることはありますか――
 人によっては、営業の立場と監督の立場の場合があるので、間違えないようにしています。営業の時は別の社員が監督を担当します。

――いろいろな思いがあるなか、それでも辞めずに続けてこられたのはなんでしょうか――
 辞めるのは逃げることのように思えて、意地でも辞めなかったのだと思います。

――未来の自分について――
 建設業界にいると思います。

――建設業を目指している女性に向けてメッセージを――
 性別は関係なく、能力主義が私の理想です。男女は関係なく、やりたいことに挑戦してください!

――大切な時間を教えて下さい――
 スーパー銭湯で温泉とマッサージでリラックスするのが最高です☆