特集 建設業界で働く女性たち

2023年07月19日

中村美紀奈さんに聞く

伊藤興業 株式会社
(一社)東京都中小建設業協会

『大変だが達成感も多い』

ーーお仕事の内容について教えてくださいーー
 主に改修工事などの施工管理です。現在の保有資格は2級建築施工管理技士補、2級色彩コーディネーター、ビジネス能力検定3級です。

ーー建設業界に入られたきっかけは何ですかーー
 幼いころに『劇的ビフォーアフター』という番組を見て、インテリアデザインの専門学校に進学しました。デザインを学んでいく中で、施工を学ぶ必要があると思ったことが建設業界に入ったきっかけです。

ーー建設業界の魅力とはーー
 小さなことから大きなことまで完成していく過程を間近で見れること。その中で知らないことがたくさんあることです。わからないことは大きく分けて用語と施工の仕方です。用語が分からないと会話の意味が全く理解できないのでこの先、不安しかなかったです。1つの用語を調べてもその説明の中の用語が分からなくて大変でしたし、何回も同じ用語を未だに調べながら少しづつ覚えてます(笑)
 施工の仕方は本よりも職人さんや先輩のやってることを見て、聞くことが私は一番身につくと思ってます。あとはYouTubeなどでもいろいろな施工が載っているのでたまに活用しています。

ーー建設業界で働くうえで女性としてのハンデなどはありましたかーー
 劣るのはやはり力の差です。特に現場の道具や物、材料など大抵が重く、男性との力の差を強く実感しました。女性としてと言えるか分かりませんが、汚れや散らかりがちな現場などで皆が過ごしやすいように保つなど、小さなことですが意外と現場の流れにつながることも多く、喜ばれます。
 あとは女性の監督員はまだ男性に比べて少ないので、顔を覚えてもらいやすいです。

 ーー建設業界で働く女性に対する会社や現場の反応はどうでしたかーー
 初めて会う方などは現場の人ではない(事務員)と思われることも多々ありますが、「女性の監督さんめずらしいね」「頑張ってね」と声をかけてくださったり、女性では大変なことなど手伝っていただいたりと優しい方が多い印象です。

ーー女性が働き続けるために建設業界(現場)に求める改善点などはありますかーー
 現場で使用するお手洗いに洋式が無いことや、サニタリーボックスが無い、鍵付きの更衣室が無いなどもう少し配慮があれば女性も過ごしやすくなるのかなと思います。

ーー現場で常に心がけていることなどはありますかーー
 挨拶することと、まわりを(現場や人)よく見ること。

ーー仕事の中で悔しい(悲しい・つらい)思いをしたこと、それでも辞めずに続けてこられたことがありましたら教えてください。
 強いて言えば現場でも現場以外でも自分が分からないこと、できないことがあってまわりの足を引っ張ってしまったり、知らない間に物事が進んでしまったときは、悔しいと同時に頑張ろうと思えます。 

ーー今の仕事について一番うれしかった言葉はありますかーー
 特にないですが、先輩が職人さんたちから「また一緒に仕事ができてうれしい」と言われているのを聞いて、私もそんな風に言われる人になりたいと思いました。

ーー未来の自分についてーー
 資格を取得し施工もデザインも一通りできるようになって、楽しく笑って過ごしていられればなと思います。 

ーー建設業を目指している女性に向けて一言ーー
 大変なことはたくさんあると思いますが、そのぶん達成感も多い業界だと思います。一緒に頑張りましょう。

ーー貴女の大切な時間を教えて下さいーー
 出かけることが好きなので、たまには旅行や遠出をすることが大切な時間です。行ったことのない場所に行ってみたりその計画を立てたり、行った場所で写真をたくさん撮って思い出を見返すのも楽しいですね。
 いつかは日本一周してみたいです。(笑)

**光木先輩からのメッセージ**
 2年前新卒で入社してきて、男性社員が大半で慣れない環境の中どこまでもつかな、と言うのが率直な気持ちでしたが、日々過ごしていく中、何事にも真面目に取組み、覚えたいという意識があるように感じていきました。これからも少しづつ成長し、初心を忘れず頑張って下さい。期待しています。


溝口さんに聞く

岳大土木株式会社
(一社)町田市建設業協会

『子育てと現場支援業務を両立』

ーーお仕事の内容について教えてくださいーー
 工事支援係として、現場監督の書類作成のお手伝いをしています。具体的には、日常管理から竣工までの書類の作成、図面や数量内訳書、材料関係の内容を確認しデータの管理、などです。

ーー建設業界に入られたきっかけは何ですかーー
 以前の会社で初めて図面に触れ、この図面の寸法を元に建設されていくことに興味を持ち、造り手に分かりやすい施工図を作図したいと言う思いからCADを習得し、資格取得後この業界に入りました。

ーー建設業界の魅力とはーー
 ずっと地図に残る仕事です。公共工事の大きな建設物が竣工後も自分が携わった建設物として残っていくことです。

ーー建設業界で働くうえで女性としてのハンデなどはありましたかーー
 子育てをしながらなので、繁忙期などは時間に制限があることです。どの職場でもそうだと思いますが、時短勤務のため工事竣工まで短い時間で計画的に集中して仕事をこなすこと。仕事を仕上げたい焦りと、家に早く帰らなければならない焦りの両方があります。

 ーー建設業界で働く女性に対する会社や現場の反応はどうでしたかーー
 みなさん温かく迎えてくれました。来社されたお客様に、会社の雰囲気が柔らかくなったねと言っていただく事が多々あります。

ーー女性が働き続けるために建設業界(現場)に求める改善点などはありますかーー
 時短勤務で子育てと両立していますが、さまざまな教育訓練を受けることや、社内での周知をお願いするなどサポートして頂ける制度があれば女性でも働きやすい環境になると思います。 

ーー現場で常に心がけていることなどはありますかーー
 元気よく、明るくあいさつすること。同僚だけでなく、他の業者さんにも同じくあいさつすることです。

ーー仕事と家庭の両立で特に大変だったこと、周りからのサポートなどがあったら教えてくださいーー
 子供の予定に合わせて勤務日数や勤務時間を相談させてもらい、自分がいない日に他の方がサポートしてくれる環境をつくってくれています。

ーー今の仕事について一番うれしかった言葉はありますかーー
 限られた時間の中で、無事竣工検査を終え「お疲れさまでした」と言われた事が、安堵感と充実感がありとても嬉しかったです。

ーー未来の自分についてーー
 現場の状況を把握して、現場監督の力強いサポートをしていきたいです。 

ーー建設業を目指している女性に向けて一言ーー
 世間が思っている建設業界の悪いイメージは、実際働いてみるとありません。私の中での建設業界は、汚い、怖いなどのイメージがありましたが、会社の環境はとても清潔で過ごしやすいです。作業着を着て、ものづくりをしている職員を尊敬していますし、皆さん人柄も温かい方ばかりです。とてもやりがいのある仕事だと思います。 

ーー貴女の大切な時間を教えて下さいーー
 帰宅後に出迎えてくれる犬に疲れをとってもらうこと。

ーー地元自慢ーー
 会社のある町田には、四季彩の杜 西園があり、ペットも入れる公園におしゃれなカフェが併設されていて人気の場所になっています。


山本 紗央厘さんに聞く

奈良建設株式会社
(一社)横浜建設業協会

『女性も活躍できる時代つくりたい』

ーーお仕事の内容について教えてくださいーー
 現場管理です。現場の安全管理や測量、材料や施工の段取りを行います。

ーー建設業界に入られたきっかけは何ですかーー
 父が建設業を営んでいて、幼い頃その姿を見ていて、私も一緒に働きたいと思ったのがきっかけでした。入社3年目から3年間産休・育休を取得し、今年の6月に仕事復帰をしました。日々、現場が進んでいくのが楽しいと思うので、現場勤務を希望しました。

ーー建設業界の魅力とはーー
 ものづくりの達成感と、工事を完成させるため、さまざまな会社との繋がりがあって楽しいと思います。
 
ーー男社会と言われている建設業界で女性としてのハンデや逆に良かったことなどを教えてくださいーー
 ハンデと思うことは、力仕事などは女性の運動能力的に男性に劣るところです。
 良かったことは、力仕事などを手伝ってもらう際に、こちらからお願いすることもありますが、周りが察してすぐに手伝ってもらえたりするところです。

ーー現場で働く女性の皆さん(女性技能者・技術者)に対する会社や現場の反応はありましたかーー
 会社は女性社員の採用に積極的で、女性が働きやすい環境づくりを提案してくれます。
 現場では「女性だから」というマイナスの感じはなく、男性社員と同じ仕事をしますが「頑張ってるね!」と応援してもらえることが多いです。

ーー建設業界が変わってきていると感じる点はありますかーー
 昨今は女性技術者が多くなってきたので、現場の環境整備も整ってきて「女性が働きやすい環境」の時代になってきたと思います。最近では、女性ならではの感性や性質を優れた点として有効に思ってもらえたり、女性技術者への理解が高まっていると思います。

ーー家庭と仕事の両立により、周りからのサポートなどがあったら教えてくださいーー
 出産後は子育てをしながらの勤務になるので、現場での勤務は難しいかと思いましたが、保育園の送り迎えや子供の予防接種の予定に対応できるよう現場に対応して頂き、現場復帰することができました。
 
ーー未来の自分についてーー
 子供達が大きくなる頃には、管理技術者になれるように、日々現場で勉強したいと思います。 

ーー建設業を目指している女性に向けて一言ーー
 女性も建設業で活躍できる時代を作りましょう! 

ーー貴女の大切な時間を教えて下さいーー
 仕事が終わって帰宅後のお酒と週末の家族との団欒です。幼児が二人いるので、家では子供達に癒されています。出産後はなかなか忙しくて最近はできませんが、趣味のフットサルに出かけたいです! 


堀籠ゆいさんに聞く

宮城建設工業株式会社
(一社)みやぎ中小建設業協会

『誰からも信頼される重機オペレーターを目指して』

ーーお仕事の内容について教えてくださいーー
 仕事は道路の舗装、補修、一般土木工事で、具体的には舗装工事をしています。
 資格は車両系建設機械、小型車両建設機械、締固め用機械、自由研削砥石、危険物取扱者(丙種)を取得しました。

ーー建設業界に入られたきっかけは何ですかーー
 高校の先生に進められて企業見学をした際に年齢層が近くて話しやすく、とってもいいなと思ったからです。現場経験年数は今年で3年目です。 

ーー建設業界の魅力とはーー
 やりがい(現場の進捗に伴い、現場周辺の住民の方に褒めていただけることなど)が大きく、身体を鍛えつつ仕事ができるところです。
 
ーー男社会と言われている建設業界で女性としてのハンデや逆に良かったことなどを教えてくださいーー
 ハンデは特にないです。力などは、やはり男性に負けるところはありますが、「何でもやります精神」で積極的に頑張っています。

ーー現場で働く女性の皆さん(女性技能者・技術者)に対する会社や現場の反応はありましたかーー
 リフォームなどでの施主への細かな気配り(作業時間、生活への配慮)や、家事を行っている女性目線での気配りをすることで、次からの工事では職人も心がけてくれるようになりました。

ーー会社や現場の反応はありましたかーー
 始めは「大丈夫なのか」などとみんなに心配されていました。また、重いものなどを両手に持つとビックリされたり、機械に乗っていると一般の方々や役所の方にびっくりされました。

ーー建設業界や現場に求める改善点などはありますかー
 今は男女兼用の作業服ですが、女性が増えてきているので、女性用の作業服をいずれ会社で支給していただければと思います。

ーー現場で常に心がけていることはありますかーー
 一つの仕事が終わっても、上司や先輩たちに聞いて次の仕事をする事。現場近くの方に常に笑顔で元気に挨拶する事です。

ーー現場あるあるーー
 表層や路上再生(舗装工事関係)時は、作業時間の都合上、お昼の時間が早くなったり遅くなったりします。

ーー悔しい思いをしたこと、それでも辞めずに続けてこられたことはなんですかーー
 男性よりも体力が劣っていた為、入社時はとても悔しい思いをしましたが、「そんな事で辞めたいと思っては負けだ」と思い、仕事を通して体力を付けることを頑張り、今では大分ついていけるようになりました。

ーー今の仕事に就いて1番嬉しかった言葉等はありますかーー
 工事完成後、一般の方に「綺麗になったね」と言われることです。

ーー未来の自分についてーー
 後輩たちの手本となる重機オペレーターになっていたいです。 

ーー建設業を目指している女性に向けて一言ーー
 現場仕事という男性業界で働いていくことは大変ですが、大変な分やりがいも大きいので、一歩踏み出して一緒に頑張ってみませんか! 

ーー貴女の大切な時間を教えて下さいーー
 幼いころから習っていた民謡・三味線の練習や、飼っている犬、猫と遊ぶこと。また、歌うことが好きなので、歌って発散する事です。現在よく歌う曲は「Uruのプロローグ」と「King Gnuの白日」です。 


坪井 麻紀子さんに聞く

株式会社 正吉建設
(一社)沖縄県中小建設業協会

『「形」になる仕事 やりがいある』

ーーお仕事の内容について教えてくださいーー
 1級施工管理技士・建築士2級の資格を持っています。住宅の設計プランニングなどで、説明する際には3D画像にしたり、お客様にわかりやすくをモットーに努めています。

ーー建設業界に入られたきっかけは何ですかーー
 建築に携わって12年。自家の建替えで、空間が変化していくのが面白いと思ったからです。

ーー建設業界の魅力とはーー
 関わる人達、さまざまな業種の方々との関りは刺激になります。完成していく建物や住宅にはそれぞれの暮らしへの思いが形になることへの魅力があります。また、学校や施設などは機能性、用途を含め違いがあり面白いと感じます。

ーー男社会と言われている建設業界で女性としてのハンデや逆に良かったことなどを教えてくださいーー
 相手の意見を一度受入れ、何を伝えたいかをくみ取り、その結果どう動いたら相手が納得するのかを考えるようになりました。

ーー現場で働く女性の皆さん(女性技能者・技術者)に対する会社や現場の反応はありましたかーー
 リフォームなどでの施主への細かな気配り(作業時間、生活への配慮)や、家事を行っている女性目線での気配りをすることで、次からの工事では職人も心がけてくれるようになりました。

ーー建設業界や現場に求める改善点などはありますかー
 女性より男性の方がわかるだろう、出来るだろうと言う対応や反応もあります。現場について言えば、やはり衛生面への配慮です。トイレ、更衣室などは女性が少なくても確保してほしいです。現場事務所と現場、それぞれの女性への配慮が必要だと感じます。

ーー現場で常に心がけていることはありますかーー
 名前を憶えて、積極的にコミュニケーションをとることを心がけています。

ーー現場あるあるーー
 お昼の休憩時にどこでも寝れることができる職人さんには驚かされることがあります。例えば、階段下、工事近所の駐車場や車と塀の間などです。

ーーご結婚と仕事の両立でつらっかったこと良かったことーー
 子供が休みの時に仕事があると、預け先を探したりお願いすることがしんどいです。実際は、家族や学童などでサポートしてもらっていますが、忙しくかまってあげられないときは「ごめんね」という気持ちを胸で唱えています。 

ーー悔しい思いをしたこと、それでも辞めずに続けてこられたことはなんですかーー
 職人とは関わっている現場の話や久しぶりに会えば「最近どう、元気」など、気さくに話してくれる方も多いです。頑張りを認めてくれ励ましてくれる上司や同僚の存在は大きいです。

ーー今の仕事に就いて1番嬉しかった言葉等はありますかーー
 お客様からの「ありがとう」と、関わった業者さんからの「次回も仕事をお願いしたい。一緒に仕事がしたい」です。

ーー建設業を目指している女性に向けて一言ーー
 建設業は男の人が多いイメージですが(今もまだまだ男社会です(笑))、女性もどんどん増えてきています。創造したものが多くの人が携わって形になる建築の仕事はとてもやりがいを感じると思います。

ーー貴女の大切な時間を教えて下さいーー
 カフェなどでの一人時間。コーヒーが大好きです。ブラック派です。また、読書したりカフェの雰囲気を味わうことが好きです。ゆったり時間で心も体もリフレッシュしています。