特集 建設業界で働く女性たち
2020年09月08日
株式会社 正吉建設
(一社)沖縄県中小建設業協会
『「形」になる仕事 やりがいある』
ーーお仕事の内容について教えてくださいーー
1級施工管理技士・建築士2級の資格を持っています。住宅の設計プランニングなどで、説明する際には3D画像にしたり、お客様にわかりやすくをモットーに努めています。
ーー建設業界に入られたきっかけは何ですかーー
建築に携わって12年。自家の建替えで、空間が変化していくのが面白いと思ったからです。
ーー建設業界の魅力とはーー
関わる人達、さまざまな業種の方々との関りは刺激になります。完成していく建物や住宅にはそれぞれの暮らしへの思いが形になることへの魅力があります。また、学校や施設などは機能性、用途を含め違いがあり面白いと感じます。

ーー男社会と言われている建設業界で女性としてのハンデや逆に良かったことなどを教えてくださいーー
相手の意見を一度受入れ、何を伝えたいかをくみ取り、その結果どう動いたら相手が納得するのかを考えるようになりました。
ーー現場で働く女性の皆さん(女性技能者・技術者)に対する会社や現場の反応はありましたかーー
リフォームなどでの施主への細かな気配り(作業時間、生活への配慮)や、家事を行っている女性目線での気配りをすることで、次からの工事では職人も心がけてくれるようになりました。
ーー建設業界や現場に求める改善点などはありますかー
女性より男性の方がわかるだろう、出来るだろうと言う対応や反応もあります。現場について言えば、やはり衛生面への配慮です。トイレ、更衣室などは女性が少なくても確保してほしいです。現場事務所と現場、それぞれの女性への配慮が必要だと感じます。
ーー現場で常に心がけていることはありますかーー
名前を憶えて、積極的にコミュニケーションをとることを心がけています。
ーー現場あるあるーー
お昼の休憩時にどこでも寝れることができる職人さんには驚かされることがあります。例えば、階段下、工事近所の駐車場や車と塀の間などです。
ーーご結婚と仕事の両立でつらっかったこと良かったことーー
子供が休みの時に仕事があると、預け先を探したりお願いすることがしんどいです。実際は、家族や学童などでサポートしてもらっていますが、忙しくかまってあげられないときは「ごめんね」という気持ちを胸で唱えています。
ーー悔しい思いをしたこと、それでも辞めずに続けてこられたことはなんですかーー
職人とは関わっている現場の話や久しぶりに会えば「最近どう、元気」など、気さくに話してくれる方も多いです。頑張りを認めてくれ励ましてくれる上司や同僚の存在は大きいです。
ーー今の仕事に就いて1番嬉しかった言葉等はありますかーー
お客様からの「ありがとう」と、関わった業者さんからの「次回も仕事をお願いしたい。一緒に仕事がしたい」です。
ーー建設業を目指している女性に向けて一言ーー
建設業は男の人が多いイメージですが(今もまだまだ男社会です(笑))、女性もどんどん増えてきています。創造したものが多くの人が携わって形になる建築の仕事はとてもやりがいを感じると思います。
ーー貴女の大切な時間を教えて下さいーー
カフェなどでの一人時間。コーヒーが大好きです。ブラック派です。また、読書したりカフェの雰囲気を味わうことが好きです。ゆったり時間で心も体もリフレッシュしています。
内田建設株式会社
(一社)東京都中小建設業協会
『橋梁模型から土木に興味』
ーーお仕事の内容について教えてくださいーー
現在入社2年目で主に工事写真の撮影などを行っています。入社後、道路維持工事に配属、足立区西新井の主要区画道路②Ⅱ区間電線共同溝整備工事に携わらせていただきました。また、9月中旬頃から足立区関原の街路築造工事及び電線共同溝設置工事(31六―補136関原)その2に携わる予定です。
ーー建設業界に入られたきっかけは何ですかーー
地元の新聞で、橋梁模型の記事をみて「私もやってみたい!」と思ったことがきっかけでした。土木に興味があったわけではないのですが、ただ模型製作がやりたいという理由だけで、載っていた工業高校の土木・建築科を受験することにしました。その高校に入学し、普段の授業や橋梁模型製作に携わらせていただくうちに土木の魅力を知り、建設業で働くことを決めました。
ーー建設業界の魅力とはーー
何もなかった土地に道路や建物が出来ていく過程を間近で見ることができる事だと思います。また、工事が終了し完成した時の達成感はどの職よりも大きいように感じます。
ーー建設業界で働くことについてご家族の反応はいかがでしたかーー
元々、母が工業科出身だったこともあるためか特に反対はしていなかったと思います。ですが最初はとても驚いていました。
ーー初めて現場へ出た時のお気持ちを教えてくださいーー
初めての現場は歩道舗装の現場だったのですが、綺麗になった歩道を見て歩行者の方が喜んでいる姿を見てとても嬉しく感じました。その後の現場でも「綺麗にしてくれてありがとう」などと声をかけてくださることもあり、やりがいを感じました。疲れていてもそのような声をかけてくださると、頑張ろうと思えます。

ーー現場に出てみて想像と現実の違いはありましたかーー
想像していたよりも職人さんに話しかけてもらえて嬉しかったです。長期の現場をやっていた時は、休日の過ごし方や趣味の話をするまでに仲良くなっていました。

ーー現場で困ったことや改善してほしい事などはありますかーー
特に夏場は汗をたくさんかくので、その時に着替えられるような更衣室などがあったら嬉しいです。現場内に女性が1人しかいない場合は設置してほしいとは言いませんが、これから先、現場内に女性が増えてきたら更衣室や女子トイレなどの設置も検討してほしいです。
ーー現場でご自身が守っている行動や言葉などはありますかーー
分からないことは積極的に聞くようにしています。そのままにしておくと事故につながることもあり得るので、どんなに些細なことでも聞いてメモを取るように心がけています。
それ以外でいうと、机に置く小物や文房具などは明るい色のものやキャラクターが書かれたものを使って気分を高めています。
ーー未来の自分についてーー
後輩に指導ができるようになっていたいです。働いて楽しいと思ってもらえるような環境づくりのために、セミナー等に参加して女性技術者の方に意見を聞く等してみたいです。
ーー建設業を目指している女性に向けて一言ーー
女性にとって建設業は大変な職業かもしれませんが、その分やりがいや達成感はどの職業よりも大きいと思っています。女性の監督さんや職人さんも増えてきていると聞いているので、男性に負けず一緒に頑張りましょう!
ーー貴女の大切な時間を教えて下さいーー
休日は買い物へ出かけることが多いのですが、中でも化粧品や洋服などを見に行く時が一番楽しいです。また、好きな『嵐』のDVDを見たりライブに行ったりしてリフレッシュしています。
福留開発株式会社
高知県中小建設業協会
『子供に「お母さんがつくった道路」と胸を張りたい』
ーーお仕事の内容について教えてくださいーー
入社後約5年間は現場にて施工管理を行っていましたが、第一子の育児休暇復帰後のH28年度からはi-Constructionの推進チームに所属し、ドローンや3Dスキャナーを使っての3次元測量、計画・解析等を行い、数件の現場と本社を行き来しています。4歳と1歳の子供がいるため残業はできませんが、会社の理解もありフルタイムで働けています。
資格は一級土木施工管理技士を取得しています。
ーー建設業界に入られたきっかけは何ですかーー
中学生の頃に、「建設や建築の仕事がしたい」と思い、専門の学校へ入学しました。入社して10年目になります。
ーー建設業界の魅力とはーー
やはり後世に残る「もの」ができることです。
自分の子供に「お母さんが造った道路だよ!」と言えたら誇らしいですからね。
ーー現場で働く女性の皆さん(女性技能者・技術者)に対する会社や現場の反応はありましたかーー
私が入社した頃は、新卒者を1名採用するかしないかの時代でした。しかし、そのような状況の中で女性である自分を採用してくれた社長をはじめ会社の皆さんにはとても感謝しています。
また、最初は現場に女性がいること自体が珍しかったため、協力業者の方には、よく二度見されていました。(笑)
(向かって一番右)

ーー建設業界や現場に求める改善点などはありますかー
私の働く会社では「男性だから。女性だから。」という境界がなく技術者として見てくれていると思うのですが、まだまだ建設業界は女性技術者が少なく、逆に女性技術者という存在を特別に扱っているように思います。
建設業界に携わる技術者の思いは同じだと思うので、あえて【女性】というところを強調せず、【技術者】として見て欲しいと思います。
また、担当する現場には女性専用トイレを始め、現場事務所には女性専用の休憩室(更衣室)があり大変助かりました。
ーー現場で常に心がけていることはありますかーー
あいさつはもちろんですが、自分から積極的に話しかけたりしています。
初めは目も合わせてくれなかった作業員の方が、色々な話(仕事以外のプライベートなことも)をする中で目を見て話しをしてくれるようになると、とても嬉しいです。
ーー家事(ご結婚)と仕事の両立でつらっかったこと良かったことーー
今まででしんどいな…という事はありませんでした。特に、結婚する前から、今の仕事を辞める気持ちはないことを主人に話していましたので、家庭の事も協力してもらっています。
しかし、子供が病気などで仕事を数日休まないといけないときなどは、会社へ迷惑がかかってしまう申し訳なさと、子供といつも一緒にいてあげられたら…という気持ちで複雑な気持ちになります。
ーー今の仕事に就いてつらかったこと、または1番嬉しかった言葉等はありますかーー
ある現場で現場代理人になった時、発注者にあいさつへ行くと第一声が「え?女性なの?」と言われてしまいました。その時は笑顔で対応したものの、とてもショックでした。
しかし、数年後に担当者の方にお会いする機会があった際に、担当者だった方からお声をかけて頂き、「頑張っているんだね!」と言われた時にはものすごく嬉しかったです。
ーー未来の自分についてーー
現在、「積算」を勉強しているので、一日でも早く会社の即戦力となるような力を身につけたいです。
まだ子供が小さくて難しいかもしれませんが、再び現場へも出たいですね!!
ーー建設業を目指している女性に向けてメッセージをーー
実際就職してみると思い描いていたものと違う現実があり戸惑うこともありましたが、自分にはこの世界しかないと思って仕事をしています。
土木にも色々な役割、分野があるので、自分の興味のあるものにどんどん足を踏み入れて選択の視野を広げていってください。
今は環境も整ってきていますので、女性だからと躊躇せず、建設の世界に興味がある方は一緒に建設業を盛り上げていきましょう!
ーー貴女の大切な時間を教えて下さいーー
仕事とプライベートの切り替えはしっかりしています。というか、17時以降はお母さんになってしまいますので…でも、その時間が私にとっては大切な時間だと思います。いつもバタバタしていますが、毎日充実しています。
そして、毎晩のビールは最高です!(笑)
土志田建設株式会社
(一社)横浜建設業協会
『モノづくり 魅力はドキドキ感』
ーーお仕事の内容について教えて下さいーー
建築工事の現場監督をしています。SRC造、RC造、S造を中心に施工管理をしており、多くの建物を手掛けてきました。資格は1級建築施工管理技士、1級電気工事施工管理技士、監理技術者、コンクリート技士などです。
ーー建設業界に入られたきっかけは何ですかーー
きっかけは、建設業や製造業の技術者になるのが花形だと思われていた時代に育ち、建設業界に入りました。現場経験年数は28年です。
-300x225.jpg)
ーー建設業界の魅力とはーー
自分が携わった建物がいつまでも残ること。また、その建物に入れなくても、いつでも外から眺めることができること。また、同じ建築物は二度とないので、現場にはいつも新しいチャレンジをするドキドキ感(刺激感)がることです。
ーーいまだ男社会と言われる建設業界で女性としてのハンデや良かった事などがありますかーー
ハンデは①体力面では男性にかなわない ②制服や保護具が体格に合わない ③更衣室・トイレが無いまたは不便 ④一段低く見られ、技術力を信用されにくいーなどです。逆に女性で良かったことは①大切にされることが多い ②あまり厳しく怒られたりしないーことです。
ーー現場で働く女性の皆さん(女性技能者・技術者)に対する会社(現場)に反応や変わったことはありますかーー
建設業就労者を減らそうとしていたころ、性別で雇用調整の対象となる時代を経験しました。一方、現在では女性活躍推進法などを背景に、更衣室やトイレなど仕事をする上でのハードのハンデはかなり克服されてきていると感じます。
ーー女性が働く上で、建設業界や現場に求める改善点などはありますかーー
古い意識の男性を改革するのは至難ですが、男性の意識改革は急務で、継続の必要性を感じます。また、作業着や保護具は体形・体格の違いをカバーできるものの普及が遅れていると思います。
ーー現場で常に心がけていることはありますかーー
服装が乱れないこと、相手の年齢を問わずに笑顔で接すること、終業まで崩れない化粧をすること、などを心がけています。
-300x225.jpg)
ーー現場あるあるーー
建設業従事者のほとんどの男性たちは、食事の作法やトイレの使い方が粗雑です。
ーー結婚と仕事の両立について、しんどかったことや周りの理解のあり方について教えてください。ーー
子供の夏休みなどの長期休暇や、学校行事に合わせられないことはしんどいです。仕事の分担量は大きいので、休暇を取得しても業務を肩代わりしてもらうことは不可能に近く、要領よくこなせるようになるまでは、家族の時間はあまり取得できなかったです。
ーー悔しい思いをしたこと、それでも辞めずに続けてこられたのはーー
自分の失敗が原因でつらいことがあったときは、家族やペットの姿を見ると乗り越えられました。失敗の原因が自分でないときは、数年前に流行った言葉ですが『鈍感力』を身につけて割り切って対応することでこれまでやってきました。
ーー今の仕事に就いて1番嬉しかった言葉は何ですかーー
医療福祉関係施設の工事ではよくあることでしたが、完工事に発注者から、ていねいにお礼を言われるときが嬉しかったです。多摩地区の透析診療所の完工事「いつも遅くまで残業をして、休日出勤を繰り返しながらも、こんなに丁寧に仕上げていただいて、本当に有難うございました。この、診療所はこれから大切に永く使います」と言われた言葉が一番、心に残っています。
ーー未来の自分についてーー
モノづくりの技術者として内勤ではなく、いつまでも最前線で活躍したいです。また、つねに最新の技術動向をウォッチして技術をアップデートしていきたいと思います。
ーー建設業を目指している女性に向けてメッセージをーー
ルーチンワークではなく、つねに新しい刺激があり、あっという間に時間が過ぎていく仕事です。また、考えているよりも、難しくない仕事です。
ーー貴方の大切な時間を教えて下さいーー
趣味の読書、旅行、ドライブのための時間は、人一倍頑張って取得します。電車通勤の時間では文庫を持って読書をしたり、マイカー通勤の際は運転そのものを楽しむようにして気分転換を図っております。また、帰宅後の長めの入浴時間や家族との食事、飼っている私にべた慣れしている中型インコとの時間は絶対に欠かさないようにしています。
株式会社 和田組
全中建 広島県支部
『魅力はみんなの力が形になること』
ーーお仕事の内容について教えて下さいーー
私の仕事はJR関係工事の列車見張員として派遣されることもありますが、工事管理者の資格を取らせてもらってからは工事の計画書作成から、施工までを担当しています。また軌陸車両を運転する事もあります。(保有資格2級土木施工管理技士・JR重機運転者(軌陸))
ーー建設業界に入られたきっかけは何ですかーー
長くトラック運転手をしていましたが、構造物だけでなく、技術や知識といった何か形に残る仕事をしてみたかったからです。だから経験はまだまだ浅いです。

ーー建設業界の魅力とはーー
1人では出来ない、みんなの技術、知識、知恵が形になっていくところが魅力です。
ーーまだ男社会と言われる建設業界で女性としてのハンデや良かった事などがありますかーー
やはり重量物の扱いは、無理もありましたが、手伝ってもらったりコツのようなものを教わったり、全て人の知恵だと感動しました。自分より周りの人たちに「女性でも出来る」事を教わっています。
ーー女性が働く上で、建設業界や現場に求める改善点などはありますかーー
トイレのない現場は、少なくなってきているので助かります。困ることと言えば、夏の作業で、薄手の作業服だと、汗をかくと透けてしまうし、男性のように現場で着替える事ができない点が困ります。女性用の更衣室もあると大変助かります。
ーー現場で常に心がけていることはありますかーー
コミュニケーションです。あいさつはもちろんですが、経験が浅いので、みんなの足を引っ張らないように、段取りを入念に確認し、分からない事を置き去りにしないよう心掛けています。
ーーツライ・悔しいと感じたこと、それでも諦めずに続けてこられたのはーー
「あれも出来ん!これも出来ん!何なら出来るん?」と言われて、何も言えなくて悔しかったです。今に見てろって、泣いたら負け、辞めたら負けって思ってました。
ーー今の仕事に就いて1番嬉しかった言葉は何ですかーー
一時、仕事が出来なかった時期に同僚が「あなたのためなら」と力を貸してくれた事です。
ーー建設業を目指している女性に向けてメッセージをーー
徐々に女性にも働きやすい環境になっていると思うので、カッコイイ女性を増やしていきましょう。
ーー貴方の大切な時間を教えて下さいーー
お酒を飲みながらのお喋りも好きですが、今は病床の母との面会時間がとても大切な時間です。